母の目に映る家族とは | 不幸を書こうか幸福を書こうか、それが問題だ

一ヶ月前に癌の摘出手術をした母は
今日、退院して自宅に戻った。


 20年くらい前

様々な病気で寝込んだときから 

 母は自分なりに運動をしていた。


 そのおかげか、入院する前までは、杖を付けば短い距離なら何とか歩けていた。 

 その時と同じように玄関を入ろうとしたら 

足がついていかず、倒れてしまったそうだ。



 退院を手伝った父も
まさか、母がそこまで弱くなってるでは思わなかったのだろう。

 倒れた母は 、倒れないように手助けもしない父をまた罵倒した。 



 「あたしのことなんか、見てないからよ!

 なんの役にも立たない! 」



 暴力男の父は
昔なら殴りかかっていただろう。





 ベッドに母を寝かせた父は
私に電話をしてきて 

「どうにか帰ってこられました」  と泣き声で言った。 




 使ったことのないミキサーでりんごをドリンクみたいにしたいがやり方がわからない、と言って

私に聞いてきた。  


 もちろん、母のための用意だ。  



父との電話を切り

あえて、母のスマホに電話をかけた。 

 母は、私が、実家で待っでいるんじゃないかと思っていた、と言った。

 待っていなかったお前は役立たずだ、ということだ。 




 母のために家族は色々やってきた。 




 母は、言う。


「 役に立つのは〇〇←弟の名前、だけ。
〇〇だけは、いろいろやってくれる」 



たしか、入院中に私に持って来いと言った煎餅は、弟にあげてたっけかな(笑)



 昔からこうだった。不思議と私には母親の顔をしない。



そして、父のことは罵倒する。




 母の介護のために
仕事を辞めた父 。

りんごジュースを、作ろうと頑張っている父。






 母の目には
家族の愛情は、どう映っているのだろう。