すれ違いの多い夫婦とは | 不幸を書こうか幸福を書こうか、それが問題だ

7月9日に胃がんと肝臓がんの摘出手術をした母は26日に地元の病院にリハビリの名目で転院した。 



 そこでは、抗がん剤の治療をするために体力をつける、ということだったが 


本人は家に戻る体力をつけるためにリハビリをするつもりでいる。



地元の病院と

手術をした病院とで

対応の違いに

 家族は手術をしてくれた病院で抗がん剤の治療を望んでいる。 


 今の地元の病院では、


 転移しやすい癌のため抗がん剤の意味はない、と言われたり 


 リハビリのための入院だが転倒すると危ない、という理由で今までやっていた、歩くリハビリも禁止されている。




 父は、8月の頭に  

手術をした病院に術後の検査のために通院する予約があるので 

 その時にこちらの病院で抗がん剤の治療をしたい旨を伝えるつもりでいた。



 が、昨夜、手術をした病院から直々に電話があり

 地元の病院でそのまま検査や抗がん剤治療をしてほしいので、検診の予約は取り消しで、と言われたそうだ。




母の今後がどうなるかはっきりしない中


 母本人はただ、家に帰るために体力をつけたいとだけ思っている。



 今後の治療については一旦、本人の意思は置いてけぼりになっている。



 そのなかで、私は、昨日母に頼まれ事をされた。


 必要な物を私に持ってきてほしい、ということたった。



 私がそのために今日、面会に行くと父もたまたま来ていた。


 思えば、父と母が入院してから二人きりの場面を見たことがなかった。



 ベッドに寝ている母と、立ち尽くす父。 


 いつもと違い、まったく目を開けず口もきかず、しかめっつらで、ぎゅっと目をつぶっている母。 


 明らかに不機嫌全開。



 調子が悪いの?と父に聞くと 


 いつもこうだ、と父は言う。 




 途中、父が看護師さんに呼ばれて席を外した。



 とたんに母は、目を開け、いつもの母に戻った。



 けたたましく、愚痴と不満を口にする。   



看護師が意地が悪い

 隣りのおばあさんがボケている 

 などなど。 



さらに、 父に対する反抗が、強すぎる。 


 過去の父の暴力などにたいする不満なのかそのへんはわからない。 



 父のことが、嫌いだと、 だめな男だ、使えない、と繰り返す。



 でも、結局、家に帰れば父と二人の事が多いだろう。




 困ったね、と思い、家路について途中、父に電話した。





そこまで嫌われている父は


 今後のことを話しながら


 仕事をやめようと思うという。



 母の面倒をみるつもりだ。



 「今まではなにもしてやれなかったからさ」   



 泣き声だった。



 そんなふうに思われていることを知らず母は、家に帰れば何もできない自分を父が、殴ったり蹴ったりするのではないか、と怯える。




 想いはすれ違っている。




 この夫婦は、救われる日が来るだろうか?