母は7月9日に癌摘出手術をして
今日、点滴の管を抜かれたそうだ。
つまり、自力で食べないとならなくなる。
食べると痛くてだめだ、という。
家に帰ってからのことをしきりに心配する。
父は、子供が親になってしまったような人なので
母の面倒は見れないと思っている。
わたしも、それは思う。
私には、弟がいるが弟は知らない。
私しか知らないことごある。
子供の頃、父は
子供を寝かしつけながら眠ってしまった母を
仕事から帰ると
その場で狂ったように足で体中を蹴飛ばしていた。
その音が私は
50年経った今でも忘れられない。
ドスンという響く音だ。
母は蹴られ続けながら
殴られながら
ただ耐えていた。
私は怖くて何もできなかった。
あまりに酷く蹴られていると
たまに、母が涙を流した。
それを見たときだけ、
私は火がついたように泣き叫び
庭に飛び出して
大声を出した。
隣に住んていた祖母と祖父が出てきて
両親の喧嘩は、終わる。
そんな父親だった。
私しか知らない。
私の心が狂いだし
両親は子供の前では殴るのをやめようと決めてそうだ。
なので弟は父が、暴力男だということを知らない。
私しか知らないことは
まだある。
続きます。