他の家族に頼めないこと | 不幸を書こうか幸福を書こうか、それが問題だ

母が胃と肝臓の癌の摘出手術をしてから、今日でまだ四日。 


 昨日から、液体の食事を口からしている、という。 


 なので、栄養点滴を抜かれ

液体だけなので、栄養が回らず

声も出なくなっていた。 


 これって、胃を取ってしまった人が通る道なのだろうか。


 通常の食事ができるようになるかわからないが


今は、液体の何かを飲んでいるとのことだ。 



 仕事中、何回も母から電話があった。


かけ直すと

本人が出て 「後でかけ直す」という 。



 本人が出たということは

緊急事態の連絡ではないということだ。



 でも、その後、

かけ直しの時間に私が仕事で電話に出られず

留守電が入っていた。 


「 父と弟には頼めない大事な話がある 」そう入っていた。 



 そりゃ、驚いてかけ直すが

今度は母が出ない。



 しばらくかけ直しを続けていたら

やっと通じて


どうやら、 


 普通の食事ができないから


血糖値の上下に関して


おやつのようなものを用意しないとならないらしい。 



 それを、父や弟には、頼めない、という。 


「 買ってきて」と言ってもわからないだろう、と。




なんだ、そんなことか、と思った。


 そんな用事で、私はホッとした。 


 ほんとに、ホッとした。 



 母だけが知っている秘密を私だけが知るようなことになったら、


私には耐えられる自信がない。 



 退院したあとの食事についても心配していた。



 母は、目も悪く、腰が悪く歩けない 。



料理は、出来ないが

慣れたものなら
茹でる、位は、前はしていた。  


もはや、それもできない、となると

何を食べてよいのか、わからないようだ。 



 父にお願いするには

大変すぎる。  



たぶん、それ専用の食事は売っていると思う。



 私が、用意しよう。 



 こうやって、昔から


わたしが母の心と体のケアをする。 



 それが、生きがいだったことも


重荷だったこともある。 



 今の私はどうだろうか。


 嫁にきて、こちらに旦那の父母もいる。 



 私にできることを、できる範囲でする。 



 私の人生イコール母のため


という使命は私の中では変わっていた。 



 これまで、父も弟も


母の言葉を信じれば


何もしてくれない酷い人、だと思い込んでいた。 



 でも、たぶん、


一生懸命やってくれるだろう。



 生まれて初めて家族を信じることができているのかもしれない。