母とはどういうものか | 不幸を書こうか幸福を書こうか、それが問題だ

目の前の私を娘だとは気が付かない母。 


 しばらく、世間話をしたあと、 

 ふいに、

 あれ?

と言い出し、


私の名前を言って 


  〇〇?気が付かなかった!

看護婦さんだと思ってた


と、言った。 


 目が悪くて耳が悪い。


マスクをして、声も聞き取れない私の存在をわからなかったらしい。


 ボケて気が付かないわけではない。


 そのあともいつもの愚痴をひたすら聞いた。 


 これが、いつもの母だ。 


 ただ、胃がんなので食事ができず、点滴のみ。


 どんどん痩せていく。


 先生はどうするつもりなんだろう。


 数日前はあんなに元気だったのに。 


 何でも食べていたのに。 


 逆に、このまま寝たきりにされているのが今は心配だ。 


 ステージ4の胃がん。

肝臓に転移あり。 


 母の体力を信じたい。


 それから、2日後の今日、また面会に行った。


 たまたまだが、わたしの誕生日だった。