今日は午前中、内視鏡の仕事があり、たくさんの患者さんの胃カメラと大腸の検査をしました。
どれだけベテランになっても、患者さんから「検査、ラクだった〜!」って褒められると、思わずニッコリと「褒めてもらえて嬉しいです。どうもありがとう!」ってお礼を言ってしまいます。
皆さんが怯えてやまない(⁈)この内視鏡検査、一体どこに苦楽の違いが隠されているのでしょう?
修行時代、先輩の先生から「自分が実際に検査を受けてみれば、辛さが分かる。」と言われて検査を受けたことがありますが、胃カメラが喉を通るときの違和感やお腹が張ったり、圧迫されているような感じは、自分で試してみなきゃ分からない感覚でした。しかし上達の秘訣はそれだけではないと、今だからこそ分かることがあります。
それは、『緩む』こと。
患者さんに『リラックス=緩んでもらう』だけでなく、検査をする自分自身も最大限に無駄な力を抜いて、緩むのです。
するとどんなことが起こるのでしょう?
力みが取れると、自分の五感が最大限に開かれるので、患者さんが感じている感覚をダイレクトに受け取れて、何がどう辛いかが現在進行形で伝わって来ます。そうすると、辛くならないようその時々でちょっとした工夫ができるし、何より自分自身も無駄な力が抜けているので、何人もの患者さんの検査を立て続けにこなしても、全く疲れないのです。(ちなみに今日は1時間あたり7人の患者さんの胃カメラをしましたが、最後まで疲れ知らずでした。)
これは内視鏡に限らず、どんな仕事やパフォーマンスでも同じように、『緩んでいる状態が最大限に力を発揮できる』ということが言えるんじゃないかなと思います。
私は学生時代に合気道部に入っていましたが、合気道での立ち方は、丹田に重心を置き、無駄な力を入れないでにスクっと立ちます。すると、前後左右から揺すられてもバランスが崩れないのです。
『緩む』イメージはまさにそんな感じ!
さらに緩むことで、精神状態も瞑想に近い感じで、心地よい風が全身を吹き抜けているような、爽やかな気持ちになれるという、嬉しいおまけ付きです。清々しい笑顔で患者さんに接することも、検査を行う上で大事な要素の一つですから^ ^
内視鏡上達のコツが『緩むこと』だとは、若かりし日には想像すら出来なかったけれど、検査を終えた患者さんが嬉しそうに「ラクだった」と言ってくれる笑顔を見ていると、「これは間違いない!」と確信している秘訣なのでした。
今年2度目のキンモクセイ