八ッ島橋 (埼玉県行田市長野~谷郷) | 穴と橋とあれやらこれやら

穴と橋とあれやらこれやら

初めまして。ヤフーブログ出身、隧道や橋といった土木構造物などを訪ねた記録を、時系列無視で記事にしています。古い情報にご注意を。その他、雑多なネタを展開中。

2023年2月16日に敢行した「行田周辺チャリでシバキ倒し」から、まずひとつ「もっとも時間がなさそうなやつ」を記事にしておく。時間がなさそうの意味は、お分かりいただけると思うが。

 

 

 

探索も後半に入っていた14時40分、現場到着。


現在地こちら

 

 

 

 

 

一見してわかる、

古レール製のアーチ橋である。

 

ちなみに、架かっているのは川ではなく、酒巻導水路という人工水路。

 

 

 

 

 

そしてこの橋、

「緊急通行止」と、ものものしい看板。

 

この日ここまで、すでにいくつかの古レールアーチを見てきていた。それらの多くは現役で、一本だけ同じく「緊急通行止」となっていた橋があったが、その封鎖はいかにもユルく、形だけ止めてます感が出ていたものだった。対してここの封鎖は、本気度が高い。まあ高欄の形状によっての違いなのかもしれないが。

 

こうなるからには、橋梁点検でそれだけマズイ状態だったということ。どうなってんだ?

 

 

 

 

 

ド逆光で

上流側より。

 

渡れない以上、あとは下からの観察しかないのだが、それなら対岸からのほうが降りやすそうだ。幸いすぐ北側(上流側)に国道125号が走っているので、容易に迂回できる。

 

 

 

 

 

つうわけでこれは、

国道の新谷郷橋からのサイドビュー。

 

手前にも、そして奥にもなにやら香ばしいものが架かっているのがお分かりいただけると思うが、今回はスルー。

 

 

 

 

 

で~、まわってきた対岸。

もちろん、同様の緊急通行止看板。

 

 

 

 

 

一体、どこがそんなに悪いのか…って

アカーーン。

 

素人が遠目の初見で見つけてしまえるほど、これはもうひと目でアカンとわかるレベルだ。うわー、コレやっば。

 

 

 

 

 

上流側。

ここが一番降りやすそうだ。早速に…。

 

 

 

 

 

間近で観察してみて…

完全にダメだ。終わってる。

 

腐食しきって、もはや垂直材が古レールアーチリブに接合されておらず、単にぶら下がっている。

さらに怖いのは、その古レールアーチリブの付け根。腐朽でスッカスカの末期的骨粗鬆症状態で、下流側とか金属棒二本だけみたいな、エライことになっている。いうまでもなくここは、荷重を引き受ける最重要点。それがこの状態では…。自重だけでも、いつ落ちてもおかしくない。

 

間違いない。これは確かに「緊急通行止」だ。この手の看板で「確かに!」って思えたのって、これが初めてだったかも(苦笑)。

 

 

いったいなんでここまでの状態に?長年にわたり、全然点検とかしてなかったのだろうか?いや、別に責任を追及とかでなく、純粋に疑問で。

 

 

 

 

 

こうして見れば、

健全に見えるんだけどな~。

 

 

 

 

 

知ってしまうと、

こうして真下に入るのもちょっと怖い。

 

 

 

それにしても…この状態であれば、残念ながらもうこの橋の復旧はないだろう。国道の橋も近いし、架け換えすらなく消滅の可能性のほうが高いと思われる。が、そうなると…。

 

 

下調べで大いに参考にさせていただいたフカダソフトさんの調査時点では、この酒巻導水路には、今記事の橋の上流と下流に1本ずつ、計3本の古レールアーチ橋が現存していたようだ。だが下調べでは、残念ながらそれらあと2本はすでに消滅してしまっていることが確認できた。

 

 

 

 

 

せっかくなので、それらもストビューで載せておく。まずは、本橋の500mほど下流に存在した、赤堀橋。

最新の画像に切り替えてもらえばわかるが、この橋は護岸工事に伴い撤去されてしまっている。

 

 

 

 

 

そして、150mほど上流…国道の新谷郷橋の上流側に架かっていた梵天橋。

こちらも護岸工事に伴い、現在は無味乾燥な橋に架け替えられている。

 

 

 

 

 

かくして、今や酒巻導水路に唯一残された古レールアーチ橋、八ツ島橋も風前の灯火。

ここもそのうち護岸工事が行われるのだろうから、その時に撤去、って感じだろうか。

 

ちなみに三橋ともに、埼玉県の「元荒川支派川改修事業」により1932(昭和7)年に架けられたものだという。

 

 

そうそう、Q地図においてはこの橋は「5-21橋」なんて名称だったりするのだが、ご紹介した三橋の名称はもちろん、竣工年なども、文献をあたられたフカダソフトさんの調査から参照させていただいた。改めて厚く御礼申し上げる。

 

 

 

というわけで、訪ねるなら可及的速やかに、な物件をまずお伝えしました~。

 

 

 

 

 

以上。