【4】より続く。
隧道を抜け、進軍再開。時刻は11時32分。
隧道前からすでに目に入っていたが、
何か看板が立っている。さっきも見たアレか。
赤いのはやはり鳥獣保護区のやつだったが、
青いほうは、「紀伊山地カモシカ保護地域」のものだった。実際紀伊山地には多くの絶滅危惧種の動物が生息しているらしい。
さあ、軌道跡。
ここまではあくまで平穏だった。
この程度の崩落で
済んでくれるなら御の字…とか考えながらも、視線は先のほうに不穏な気配を捉えてしまった。
これは良くない。行く手が白く見えるのは、
非常~に良くない。
あー、ダメだ。
このまま進める可能性は0%。
隧道から歩くこと6分、豪快な山抜けが、
軌道跡を含めた一切合切を押し流していた。はい、終了~。
…ってわけにはいかない。
さすがにこんだけの山抜けとなれば、いかなる上級者であっても正面突破は不可能。
となれば、
しっかりと先人による回避ルートができていた。ありがたや!
実は、山抜けの手前にこういうお助けロープが存置されていることに気づいていた。写真ではわからないが、上の方にはピンクテープも。
実際は、お助けロープのお世話にならずとも登れた。
山抜けのさらに上まで高巻いてクリア。
要所要所には、
このような先人のピンクテープがあり、とても分かりやすかった。いやほんと、ありがたや。
高巻きに要した時間は、13分。
再び、路盤跡に復帰。写真中央の斜面を降りてきた。
「慎重に探索し、無理はしない」を肝に銘じていたので、この高巻きも状況次第では途中撤退が有り得たが、まずは無事に第一関門クリア。
余談だが、2019年9月にやらかしたガチ遭難以降、単独行での探索(まあほとんどそうなんだが)ではことさらに慎重になってしまった。臆病と言ってもいいレベルかもしれないけれど、まあそれはもう仕方ない。あれは二度と体験したくないし、人様に迷惑をかけたくないし、ましてや死にたくないので。
さて、進軍再開の前に、
逆方向へと戻ろう。つまり、今高巻きでクリアしてきた山抜けを、先ほどと反対側から見届けようと。
やはり、人に歩かれなくなった軌道跡は状態が悪い。
基本的にずっと崖に向かって傾斜している。
で、2分も歩かないうちに、
またしても致命的な場面で軌道跡がぶった切れているのがわかった。
上からの土石流が造り出した、
さほど広くはないものの、深くて急なガリー。これはわたくしの手には負えない。無理。
ガリーの先には
わかりにくいかもしれないが、また路盤が復活しているのが見えた。
で、さらにその向こうには、
谷が開けて明るくなっている一帯が見えた。あそこが例の山抜け現場に間違いない。
こうして、ガリーと山抜けの間の数十m、ここはわたくしにとってアンタッチャブルな形でやり残しとなったわけだが、下巻きでチャレンジすれば、あるいは行けたのかもしれない。ただしもちろん自己責任でよろしこ。
スッキリした。戻って進軍再開としよう。時刻は11時58分。
【6】に続く。