佐藤琢磨、偉業達成。2度目のインディ500制覇! | 穴と橋とあれやらこれやら

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8月23日(日本時間では24日)にアメリカはインディアナポリス・モータースピードウェイで行われた「インディアナポリス500マイルレース」、通称「インディ500」において、日本人レーシングドライバー・佐藤琢磨が見事優勝を飾った。

 

*写真はネットからお借りしました

 

今年で104回目を迎えるこの伝統の一戦において優勝を果たした日本人は、もちろん佐藤ただ一人。それも2017年に続いて自身二度目の優勝ということで、一度目は「快挙」だが、二度目となるととんでもない「偉業」である。前回は記事にしそびれたが、今回はスルーできない。

 

 

モータースポーツ後進国である我が国での報道の小ささには驚くばかりで…これマジでとんでもなく凄いことなんだが。

 

 

このインディ500は、北米のフォーミュラカー最上位カテゴリーであるインディカーシリーズ内の一戦として組み込まれているが、(F1の)モナコGP、ル・マン24時間レースと並び、世界三大レースの一つとして最も注目度の高いモータースポーツ・イベントのひとつであり、ここでの勝利はこの上ない名誉となるため、このレースにだけスポット参戦する者も少なくない。

もちろん、このレースに挑戦するに足る実力がなければ、参加することさえ叶わない。決勝を走るのは、いずれも実力者ばかり、現に今年も佐藤を含め8名ものインディ500優勝経験者が出走しており、その中には実に4度目の優勝を狙うエリオ・カストロネベスもいた。

 

直線を4つのコーナーでつないだ1周2.5マイルのオーバルコースを200周、平均速度は220マイル(時速350km)を超える。ということは、レース時間の半分以上ほどを超高速コーナリングによる強烈なGに耐えながら戦っているということ。

 

とかく単純に思われがちなオーバルコースだが、そこで要求されるドライビング技術は繊細かつ複雑であり、ロードコースとはまったく違うものが要求されるとされ、一般的に世界最高峰のレースカテゴリとされているF1出身のドライバーでも、オーバルコースには手を焼くという。

また、世界最速の速度域で戦うにおいて、前走車からの乱気流への対応は極めてシビアであり、いとも簡単にコントロールを失ってクラッシュしてしまう。ひとたびクラッシュが起これば、ドライバー保護とコース保全のためイエローフラッグ下で追い抜きのできないスロー走行周回が発生し、その長さ、タイミングでタイヤや燃料の状況も刻一刻と変化する。

 

 

つまり、年に1回のインディ500で勝つには、自らの技術とメンタルはもちろん、自信を持ってドライブできる、セッティングの決まった「勝てるマシン(エンジン含む)」、状況に臨機応変に対応できる「勝てるチーム」が必須であり、これらを手に入れること自体がとてつもなく凄いこと。さらに、加えて「運」までもが絶対に必要、となってくると…。少しは「偉業」の意味が伝わるだろうか?

 

 

F1では志半ばでシートを失い、北米に活路を求めて今年で11年。2度目のインディ500制覇を成し遂げて、インディ500史上20人目のマルチ・ウィナーとなった。今回も全米のいろんなメディアに出ずっぱりに違いなく、今やアメリカでは知らぬ者もない有名人である。

 

思えば、最初の勝利からさかのぼること5年、2012年の決勝では、佐藤はファイナルラップには2位にいた。そのままゴールすればその順位は確実の状況。だが彼は果敢に首位をゆくダリオ・フランキッティ(3度のインディ勝者)にアタックし、そしてウォールにクラッシュした。

普通に考えれば「バカじゃねえの?」だが、このインディ500、称えられるのは勝者のみで、2位以下はすべて敗者という「勝った者のための」特殊なレース。可能性に賭けて果敢にアタックした佐藤のドライビングは広く賛辞を集めることとなり、そのことが以降の評価やレースシート確保に大きく影響することとなった。もちろん、良い意味で。

 

佐藤のキャリアは波乱万丈だが、やはり史上最高の日本人レーシングドライバーであることは間違いない。インディの年間王者もぜひ狙ってほしいな。

 

 

 

改めておめでとう、佐藤琢磨選手!