2011年8月30日、仕事で行った横浜で訪ねた、駅近土木遺産(そんな言葉はない)。
JR東海道本線・保土ヶ谷駅から歩いてもすぐのところにある隧道なのだが…
あら??
ああ~タイミングが悪かったかーー!
隧道前でなんか工事をしている。隧道そのものの工事ではなさそうだが…。
接近してみれば
工事エリアがポータル前までベタづけだったが、まあ仕方ない。
それよりも、この壮麗なポータルはどうだろう。ピラスターが帯石で止まっており、その上のパラペットには多くの石材を縦に配した独特なデザインと…この色合い、めっちゃ気にならん!?(今田美桜さんふうに)
それについてはもうちょい後で。ああそうそう、場所コチラ。
交通整理の方にお願いしてちょっと失礼させていただき、二枚の銘板を撮影した。
上が「横浜市認定歴史的建造物」、下が「土木学会選奨土木遺産」のプレート。
注目は土木学会のプレートで、そこには「横浜水道に関わる隧道ー東隧道」とある。実はこの隧道、関東大震災からの復興事業として横浜水道局の手により1930(昭和5)年に完成したもので、路盤下には水道管が埋設されている。
で、この隧道から南方にもう一本、同じく出自でよく似た意匠の隧道が存在しており、この後でその隧道も訪ねたのだが、それはまた別の機会にご紹介する。
交通整理の方にガン見されながらも
そんなん気にしちゃおれない、この素晴らしいデザインったら。
こだわりの迫石形状、帯石直下には雁木、そしてなによりこの紫がかった珍しい色合いの焼過煉瓦!こういう色の煉瓦、他では見たことがない。その珍しい煉瓦が、これまた(隧道のポータルでは)珍しいフランス積みされている。
さすが震災復興のライフライン関連事業、何とも力の入ったデザインで、復興への力強い意気込みを感じるようだ。
生活道路になっているが、大都市のそれとしてはいかにも狭い。
これで普通に路線バスが走るってんだから、ナカナカだ。
なので、
鉄道トンネルみたく退避坑が設けられていた。
ちなみにスペックは、延長168m、幅員5.4m、有効高3.8m。
歩いて抜けまして~、
南側ポータル。
どうやら、意匠は北側ポータルと全く同じ。
日当たりがよく、煉瓦の発色がひときわ映える。
温もりを感じる茶褐色の煉瓦とはひとあじ違う、ちょっとクールでキリッとしたテイストが素晴らしい。これはいいわ。
北側では撮らなかった扁額。
例によって、揮毫者の名前、読めませ~ん(笑)。
ちょっと引きで正対。
素晴らしいが、今見ると…ちょっとてっぺん、散髪したいなあ(笑)。
うん、実に横浜らしい(謎)、スタイリッシュな隧道だった。
以上。