2010年10月2日、房総の隧道王子(当時?笑)、まききさんに初めてお会いし、隧道王国・房総においても特異点たる穴銀座・茂原市は押日地区をご案内いただいた。
なんとこの日の記事は初めてっすな。
この伝説的なテリオス・キッドに乗っけていただいて押日をめぐる…なんと贅沢なツアー(笑)。
まききさん、Web上ではかなりごぶさたな感じだが、きっと仕事の合間に元気に活動してらっしゃることだろう(決めつけ)。
今回ご紹介するのは、茂原駅で待ち合わせしてから一番最初に連れてっていただいたところ。今さらながらに房総の真髄を思い知らされた。
冒頭の写真の場所、引いて見るとこういうところ。
場所コチラ。写真は北を向いている。
中学校を望む郊外の市道という趣。隧道なぞありそうにない?うん、そうなんだけども、実は正面じゃなくって左なんだな。
その左に何があるかっつうと…
モチのロンで、当たり前のように隧道ですな。
手前に写っている謎な石造の…ミニ祠?、よく見ていただくと、さっきのストビューの左端に写ってるので、それを基準にしていただくと位置関係が分かりやすいかと。市道に対しほぼ直角方向、つまり東西方向に穿たれている。
その石造ミニ祠?の屋根には、
これまた謎な、未年の開運紹福瓦がかぶせられていた?なんじゃこりゃあ。たぶんお正月に神社かどこかで頒布されるような類いのもんだと思われるのだが…。
ちなみにこの年2010年は寅年であり、遡ってもっとも近い未年は2003年となるが、7年もかぶせられたままにも見えないし。どうでもいいんだけども気になりだすとなんか…(苦笑)。
ええい、そんなもんどうでもエエんじゃ!(笑)
接近して正対してみると、
完全人道サイズ、矩形断面に近い素掘りの隧道だった。
当然扁額も銘板もあるわけないのだが、今は亡き房総隧道のバイブル「千葉の素掘り隧道(トンネル)」というサイト(Yahoo!ワイワイマップのサービス終了で消滅…)でのデータによると、名称は野本隧道であるらしい。
やっぱこれ、
矩形断面と呼んでも差し支えないような。
アーチの力学に頼らなくても完全に安定しており、房州がいかに隧道を掘るのに適した地質であるか、を如実に物語っている。延長は20m強くらいと短いが、洞内中央くらいにサミットがあって、水がたまることもない。
洞内には
照明の類いは皆無だったが、
固く踏みしめられた洞床、そして
前後の道の状況を見る限り、この隧道、完全に現役である。
まあ、多少は鬱蒼としているけど。
野本隧道・西側坑口。
隧道から、
その先へと進んで行くと…
すぐに竹藪が開けて、
里に出た。
低い山だが、この隧道を穿つことで、確かに行き来はとても楽になっただろう。入ってきたほうの東側も、今は真新しい市道で上書きされているが、元々はこういう「ザ・ニッポン」的景観が広がっていたのかもしれない。
隧道のサイズ、勾配のゆるさ。状況証拠から考えるに、自動車交通の到来以前に穿たれた古洞である可能性も高い。もしそうだとしたら、房総では珍しいわけでもない明治(以前)の素掘り隧道においても、そのまま改変されずに使われ続けているものはレアなんじゃないかと思われる。
こんなのがほぼ街中にある茂原市、ステキすぎるわ~。
ステキすぎると言えば、わたくしが思い知らされた「房総の真髄」はこれだけではなかった。いや、ここからがまさにそれなんだな。
野本隧道の西側(3枚上の写真近く)から、
道に見えなくもないところを
南側にガサガサと分け入ると…
んなああああ?
なんとそこにも、そうひとつの素掘り隧道が!
前出の「千葉の素掘り隧道(トンネル)」によると木生坊隧道というお名前のこの隧道、状況的には、野本隧道の10mほど南側に、並行して東西方向に穿たれている。さりとて、野本隧道の旧隧道ではないはず。だって、ほぼ高低差はないから。確かに断面の大きさはちょい小さいけど…。
一説によると、野本隧道掘削に先立っての試掘だったとか?確かにこちらのほうが延長は短いのだが、普通は延長が短くて済むところに隧道を掘るよなあ。見たところこっちも洞内は安定しているし、これ以外に野本隧道がなんで必要だったのか、解せない。
まさか…これはアレか?房総で時に感じるあの感想…
掘りたいだけやろ~これ! 知らんけど。
これぞ房総の真髄なり。
こちらもおおむね矩形断面、
天井はやっぱ少し低い。
東側に抜けて振り返り~の
木生坊隧道・東側坑口。延長は10m切るくらいか?
こっちは廃隧道につき、少し引くとすぐにわからなくなる。
背後はすぐ市道だが、よほど気をつけて見てても気づかないかも。
最後に、市道から全体を引きで。
テリオス・キッドの停まってるところが野本隧道・東側坑口前で、写真中央、二本の電柱の間あたりに木生坊隧道の東側坑口が開口している。という状況。いや~、なんということでしょう。
この写真左端にも思わせぶりなスペースがあるが、実はそこでも面白いものを見つけている。が今回は割愛(笑)。機会があればまた…。あっ、隧道じゃないっすよ、さすがに。
以上。