【1】より続く。
予定どおり(笑)上部水槽に到達したわたくし。6年半ごしの訪問をかみしめつつ、しばし鑑賞。
実のところ、ここはけっこう有名な物件で、先人によるレポートもたくさんある。が、なんかいまいち自分の中で全体像をイメージしづらく、「あるモノ」を除いて、どんな遺構があったのかもあんまり記憶がなかった、好都合なことに(笑)。もちろん、改めて見返すようなことはあえてせずに来た。
しかし…打ち棄てられたコンクリート構造物って、どうしてこうも心にしみるんだろうか。
で、この部分。
正面部分が、先ほど辿ってきた余水吐きの落ち口。水槽は狭まって右手方向へと向かい、水圧鉄管へとつながっていたようだ。もちろん鉄管は撤去されているけれど。
水槽内から見た、余水吐。
落とし戸を差し込んでいたとおぼしき切欠きが確認できる。
上から見ると、こんな感じ。
こうして見ると、落とし戸の位置を二段階調節できる構造だったようだ。流量の制御のためか?とりあえず、足場が狭い(笑)。
で、こちらは水圧鉄管方向。
廃されて60年以上も経つというのに、非常にいい状態に見える。この上部水槽周りだけでいえば、掃除すればまだ使えそうな気さえした。
上から。
こちらも、勾配がガクンと下がるその場所に、ゲートの痕跡があった。
手前のは、やっぱ石桁橋、ですなあ、水路を渡るための。なぜかこの石桁には、いくつか貫通した穴が開けられていたが、なんだろうか?
水圧鉄管の台から振り返る、上部水槽。
うーん、機能的で美しい!
このまま水圧鉄管跡を辿って降りれば、発電所建屋の位置が特定できるだろう。が、それは当然後回し。反対方向、つまり取水方向を辿り、導水路遺構と取水地点を探りたい。そして…記憶によれば、そこには「アレ」があったはず…。
かくして、
導水路の遡行、開始。
こんな感じで
乱れてはいるけど、水路そのものは健全。
で、そのすぐ先。のっけから、わたくし見つけてしまった。
帰ってから改めて先人たちのレポートを確認したが、これに触れている人はいなかった。これ、わたくしが冴えてるっつうよりは、以前は隠れて見えなかったに違いない。
だって、それほどあからさまに、そいつは…写真の倒木の左側に。…わかりますかね?
そこに顔をのぞかせていたのは、埋設されている水管。
寄ってみると…やっぱりね。
これは、陶管だ。イイねえ~。
どうやら、メインの導水路とは違う方向から来ているようだ。これも後で忘れずに追いかけてみねばな。
さて、導水路は、
地形と等高線に忠実に、それと気づかないほどの勾配で登っている。
あるパートでは、このような
石積みの土留め擁壁で守られている。
そのすぐ先で、
唐突に、導水路側壁が切れているところがあった。
これはどういうことだろう。アカンでしょ?あるいは廃されてから崩れたんだろうか。それにしちゃあ単に崩れました的な状態ではなく、きちんと整えられているようだが。なにこれ?
というような疑問が脳内を駆け巡りつつも、
視線はすでに認識していた。
「アレ」を。
【3】に続く。