【3】より続く。
ほんの5分前には快適に歩いてきたこの道が、
今や…
あは~ん。
何の前触れもなく、真性の廃道へと変貌を遂げた。なんらかの必要があってあそこまでは車を通せるようにしてあったのだろうが、目的地となるようなものは何一つなかったがなぁ…。駄目だこりゃ。
ということで16時15分、観念して歩を進める。
もう隧道まではいくらもないはず…。
という、思い込みがあった。
実のところ、この道をずーっと行けば隧道へと至る、という情報のみでここまで入ってきた。それも、歩ける距離やな~程度の、極めてアバウトな距離感で。地図も車に置いてきた。
そして先人のレポートを事前に見てはいたものの…いや、見ていただけに、途中で道路状況が悪くなるとは想定していなかった。考えてみれば盛夏の今、植生を含めた道路状況が最悪なことは当然覚悟して然るべきこと。でもさっきまでが快適すぎて、ずっとこんな感じでイケると勘違いしてしまった。
ここは、気を引き締めねば。
ともすれば、進むべき道をロストしそうになる。
ちょいちょいヘアピンを挟んでくるので、油断できない。…うーん、こんな写真ばっかりになるな当然。
またぽっかり開けた場所に出た。
ここで一瞬道をロスト。ぐるっと見回すと…
おお~!右にあったのは、
何とも見事な
谷積みの石垣!素晴らしい!
ということは、あの上を道が通っているってことだから、ここを右に進んでターン、ですな。
これたぶん、ターンを撮ったやつ(笑)。このように、道が荒れ出してからのターンは明らかに半径が小さい。なんでだ?
路肩もアヤシイ…。
そうそう、路肩と言えば、見下ろしてみれば…
先ほどの石垣の上に達していた。路肩が傾斜しているので、油断すると転落しそう(汗)。
ここで16時23分。
徐々に心の平穏が失われてくる。
感覚的には、完全廃道となった地点から隧道まではすぐだと思っていた。けっこうな距離を歩いてきたし、地図読みで見てきた距離を思い起こせば、果たしてさらに時間がこんなにかかるものか?
まさか、道をロストした?違う道に入り込んだ?
いや、そんなはずはない…。けどこの藪で道形は非常に見にくくなっている。どっかでいつの間にか?
いやいや!この立派な石垣が、隧道を擁する古道上にいる何よりの証拠!信じて進め!
だが…悪いことに、遠くで雷がゴロゴロいい始めた。空模様も心なしか暗くなってきたようだ。しかも愚かなことに、レインウェアは車に置いてきた。
…この馬鹿野郎…最悪。
とにかくもうちょっとのはずだ!ここまできてあきらめられるか!
…16時30分。
路肩?に当たる部分にこんなものを見つけた。
山の水をどこかへ流す暗渠の痕跡なのか?詳細は不明だ。不明と言えば
隧道も不明だ(泣)
こんだけ歩いても辿りつかないとか有り得るか!?
雷鳴も大きくなってきた気がするし!
なんかちょっと広いところに出た。
もうちょっとだけ…もうちょっとだけ進めば…
まだ全然見えない(泣)。
そしてついにポツポツときた。
雷鳴も近い。
そして
相変わらずの激藪。
だ、
駄目だーー!!(瀧涙)
進軍開始後1時間と8分が経過した16時33分、無念の撤退。
かくして、自分史上最大最悪のやり残し、確定。
ここは無理すべきでないと判断はしたものの、当然ながら不完全燃焼感に苛まれることになった、自分がかき分けてきた藪の痕跡をトレースし、急かされるように来た道を戻った。
撮影は一切せず、下り基調も手伝って、帰りの所要時間は35分。皮肉にも、途中で雨は止んでしまった…。ヲイヲイ…貴様…
17時08分、帰着。
後で調べてみたら、隧道まではそれこそあと100mもないあたりまで接近していたようだ。それこそ、もうひとつ先のカーブまで行けば…ぐらいのところ。全ては自分の準備不足。大きな悔いを残すことになった、ほぼ1年前の出来事でした。この後、傷心のわたくし(笑)を癒してくれる物件に出会えたのは良かった。何しろ、マジ凹みやったので…(笑)。
これ以上藪に入りたくなかった気持ち、わかってくれるよね…(爆)。
以上、完結。