草津川隧道と第二草津川トンネル (滋賀県草津市大路~草津) | 穴と橋とあれやらこれやら

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初めまして。ヤフーブログ出身、隧道や橋といった土木構造物などを訪ねた記録を、時系列無視で記事にしています。古い情報にご注意を。その他、雑多なネタを展開中。

おろろんさん、ごめん!もうイッコだけ。ある意味、昨日の記事と対をなす内容といって良かろうかと。
 
 
 
 
 
突然ですが。
 
 
ウカウカしてたが、改めてお伝えしなければいけないことがある。特に土木好きの諸兄に。いつだか家棟隧道跡の記事でも触れたが、
 
 
 
国道1号線の
 
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草津川隧道、いよいよ撤去が始まりそうですぞ。
 
 
 
改めまして、場所はコチラ。
 
 
 
 
 
「天井川」の代名詞として、全国にその名を知られた草津川。その大築堤は市街地を南北に二分していた。人馬は難儀しながらそれを越えていたわけだが、明治期、東海道にその下を抜ける煉瓦隧道が建造された(改修されて現存、今回も撤去はされず)。
 
 
 
そして1936(昭和11)年、新たに国道1号線に、二代目となる草津川隧道が建造された。
 
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我が国で最初期の、コンクリート製の函型暗渠(いわゆるボックスカルバート)を用いた隧道だった。そのことが評価されて、土木学会選近代土木遺産のBランクに選定されてもいる。
 
 
上の写真を見てほしい。最初期のボックスカルバート隧道が、存外に装飾的であることに気づくだろう。つまり、坑口両脇のピラスター(付け柱)や帯石と笠石を模した意匠であり、そして隧道のひたい部分にバッチリと配された大きな扁額である。
 
 
これらはすなわち、明治~大正期の隧道デザインのフォーマットを踏襲している。当時最新の工法を用いながらも、デザインは旧来のフォーマットから脱却できていない、まさに隧道建造史上過渡期の象徴とも言えるユニークさが、この隧道の魅力だ。
 
 
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現在では上り線として使われている隧道。つまりこの写真は南側より。
 
 
バスを見るとわかるように、大型車両は高さがカツカツ。これより大きな特殊車両などは通れない。そして、かつては上下二車線として使われていたため、
 
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洞内には分離壁がある。ちなみにこれは右側(東側)のほう。
 
なおかつこの隧道、自転車歩行者用通路がないのである。今のご時世、天下の国道1号線でこれはけっこう致命的…。
 
 
こうしたことが問題となっていたことに加え、2002年に草津川流路の南側への移動が完了し、隧道上の草津川は廃川となったことで、一気に隧道撤去の機運が高まってしまった。
 
 
その結果、隧道を撤去し、跡地を整備する、ということが決定されたのだった。
 
 
ちなみに下り線および自転車歩行者道は、1966(昭和41)年に建造された草津川第二トンネル(これもボックスカルバート)が担っているが、今回同時に撤去されることが決まっている。
 
 
 
同じく南側より、引いた場所から。
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右端が、第二トンネルだ。この付近一帯、堤防もろとも切り崩され、景観は一変するだろう。
 
 
 
 
 
 
 
では、北側からも見てみよう。
 
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向かって左が第二トンネル。左端の小さな自転車歩行者用トンネルがわかるだろうか。
 
 
 
 
 
 
この第二トンネルにも触れておこうか。
 
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第二トンネルは当初から下り線一方通行として建造されたため、
 
 
 
 
この北側にのみ扁額がある。
 
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なんと、草津中学校三年 松田明君の揮毫による扁額。
 
扁額の揮毫といえばエライ人、の常識を覆すこの扁額。一般公募によるトンネル名称決定などは散見されるが、一般人、しかも中学生による扁額はレア!
 
隧道撤去はやむなしとしても、扁額(もちろん松田君のもね)だけでもきっちり移設保存じていただきたいものだ。
 
 
 
コチラが自歩道トンネル。
 
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まあ・・・なんてことないけどさ(笑)。
 
でも、なくなるとなれば、記録しておきたいもんね・・・。
 
 
 
 
 
 
最後に改めて二代目草津川隧道、北側より。
 
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車が途切れるわずかな瞬間に。
 
一方通行ゆえ、この北側坑口は車で通行した場合は見ることができない。ドライバーは目にしない側ゆえに標識やら警戒塗装なども最低限で、極めてオリジナルに近いであろう姿は、大路交差点の歩道橋からこのようにゆっくりと鑑賞できる。ぜひ。
 
 
ただまあ・・・
 
 
 
 
 
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だいたいいつもこんな感じやけどな!
 
落ち着かんわ~。
 
 
 
 
 
 
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この光景、あとどれくらい見られるのか・・・。
 
 
 
 
 
下り線(第二トンネル)は2016年度内、そして
二代目草津川隧道は、今年度中に堤防ごと撤去される。
 
寂しいが、致し方ない。
 
すでに工事準備が始まっていると聞く。賞味期限は、あとわずかだ。
 
 
 
 
 
 
 
以上、完結。