大鯛木馬道探索記 【4】 (奈良県吉野郡川上村) | 穴と橋とあれやらこれやら

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初めまして。ヤフーブログ出身、隧道や橋といった土木構造物などを訪ねた記録を、時系列無視で記事にしています。古い情報にご注意を。その他、雑多なネタを展開中。

 
【3】より続く。
 
 
 
時刻は11時29分、鉄製階段からジャスト40分。
 
長年憧れてきたアレが、
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突然(感覚的にはほんと突然だった)に現れた。
 
なにしろ、予備知識はほぼ写真一枚だけ。唯一わかっていたのは、大鯛の滝至近にあるようだ、ということだけだったので。
 
 
俺はいま、猛烈に感動している…ッ!(爆)
 
いやマジで、嬉しい。ホント嬉しい。
 
 
 
嬉しいが、一瞬で消し飛ぶ浮かれモード。
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なんつうロケーションだこれ!? 
 
轟音をあげて落ちる滝、そして立ちふさがる巨大岩盤をぶち抜いて、まっすぐにその滝頭へと向かう木馬道。これよりもヤバい「道」ならばいくらでもあるだろうが、「隧道」の立地としてここまでハードコアなものは、わたくしの経験値では初めてだった。
 
 
 
タテのアングルのほうが、伝わるだろうか?
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そして気づいてほしい、目の前の崩れた路肩と、あまりに狭い道に。
 
これ、マンガとか映画で見るやつやん…。
 
 
 
そこを慎重にクリアすると、
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すでにもう、隧道手前にガッツリと刻まれた片洞門の只中にいる。
 
 
 
 
ゴリゴリの圧殺感。
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ちょっと、言葉が出ない。
 
まさに取り付く手がかりさえもない断崖絶壁だったであろうこの場所に、岩盤を削り込んで道をつけた人たちがいたということが、まず信じ難かった。
 
その工事で、誰の命も失われることはなかったんだろうか。とてもじゃないが、人の命を差し出さずして全うできる工事ではなかったように思えた。いかにも小さな隧道だが、この立地でこれより大きくできるイメージが一切湧かなかった。
 
 
そもそもこの道は、伐採された材木を搬出するための木馬道。そこに隧道を掘ることの意味を考えると、
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その費用や労力、そして弩級の危険度を賭してでも、「この奥の木を運び出す必要性と、それに足る採算性」があったのに違いない。
 
 
 
 
それにしてもこの狭小な断面では、b9904954.jpg

木馬での運搬量にも制約があっただろうことが想像できる。
 
延長はせいぜい10m強ほどだと思うが、隧道なくしては絶対にクリアできない、そんな立地だからして、木馬道のルートとして、ここをおいて他には考えられなかったんだろう。
 
 
 
伝わりにくいが、
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かなり急勾配の洞内の、その出口に散乱する木材。これは…?
 
 
 
 
そして、くっそヤバい
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鉄板の構図。
 
いろいろ書きたいことあるんだが(笑)、まずこの木製の残骸。これって、もしかして、木馬道の盤木遺構なんじゃないのか!?試しに「木馬道」のワードで画像検索してみていただきたい。これ絶対そうっすよね!?
 
この上を、材木を載せた木馬(木橇)が降りてきたっていうのか…?それ、めっちゃめちゃ怖いんやけど。
 
 
 
だって、この場所って、
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コレもん。
 
垂直に切れ落ちた、まさに断崖絶壁の上のひっかき傷程度の道。ヤバい。マジでヤバい。
 
 
 
隧道を振り返り。
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ちょっともう、なんて言っていいかわかんないわ(笑)。
 
 
 
 
 
ここもやっぱ、タテヴァージョンのが伝わるかな?
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隧道下からこの先の滝頭まで、けっこうな急勾配で登っている。
 
すなわち、山からの搬出時には下りの急勾配、右側は千尋の谷。ははは…。乾いた笑いが漏れるほどに、めちゃくちゃ怖かったやろうなあ…。どんだけ危険な仕事だったんだろうか、この現場は。
 
 
 
そして、ここから望む大鯛の滝。デカすぎで、また近すぎて、やはり全貌がよくわからない。
 
これは上半分。
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断崖に生えた木を目印にしていただいて…
 
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こんな見え方。
 
この滝、当然滝屋さんによるレポート記事がけっこう見つかるのだが、それらを見ると、鳥渡谷に降りて直下近くまで行かれている方も多い。確かに、前回登場した謎穴手前の沢あたりまでなら、谷底まで降りるポイントはありそうだった。
 
 
さて、念願の隧道を確認・探索し、大大大満足。あくまで隧道がターゲットだったわたくしだが、とりあえず滝頭までは行って見てみようと思った。せっかくやしね。
 
 
 
この写真では見えないが、
 
 
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滝の位置は先の写真どおり。もうここは滝の至近だ。
 
今改めてみると、写真手前下のも盤木遺構やな、これ…。
 
 
 
少し登ると、道の真ん中に
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いつのものとも知れない楔。
 
断崖の上の狭い道の真ん中にあるコイツ、へたにつまづいてバランスを崩したら、即サヨウナラ。いやいや、やめてちょうだいよ…。
 
 
 
さ~て、
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滝の上はどんなんかな~?
 
 
 
どんなんだったと思います~?(謎笑
 
 
 
 
【おまけ】
 
謎穴の手前からの、隧道の動画を貼っておきます。ここばっかりは、これを見ていただいた方が臨場感があるんじゃないかと…。よろしければ、どうぞ~。
 
 
 
 
 
【5】に続く。