明護隧道 (滋賀県高島市朽木市場) | 穴と橋とあれやらこれやら

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初めまして。ヤフーブログ出身、隧道や橋といった土木構造物などを訪ねた記録を、時系列無視で記事にしています。古い情報にご注意を。その他、雑多なネタを展開中。

 
2018年7月14日、つまり昨日。DAiNさんとともに敢行した、「ほぼビワイチ」ツアーでご案内した場所はすでに拙ブログで記事にしたところも多かったのだが、一ヶ所だけ、わたくしがかねてから宿題にしていた未訪問物件にも訪れた。酷暑の中(笑)。
 
それは、高島市朽木市場にある、現役の水路隧道。その名も「明護隧道」という。
 
 
同じく念願だった稲山隧洞はもうだいぶ前に探索が叶ったのだが、なぜかこっちはなかなか実行できずにいた。それが今回この機会に実現。
 
 
 
「道の駅くつき新本陣」に車を停めさせていただき、おおよそアタリをつけていた方向へ。そう、この物件、ネット上でその姿を見ることはできるが、場所を明示したものは(わたくしの知る限り)見当たらない。わたくしもその慣例(?)に倣い、場所を示すことは自粛しておこうと思う。
 
 
ちなみにこの写真は、
 
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別の日に撮った、この市場地区の名建築「丸八百貨店」。国登録有形文化財である。この丸八百貨店の前を通ることだけは書いといてあげよう(笑)。
 
 
 
つうわけで、はっきりした場所がわからないので一度道を間違えた。自分でもこれは違うやろ~、と思ってたところに運よく人がおられ、教えていただくことができた。
 
 
 
しばし後。
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こういう場所に。
 
なるほど、あの先に目指すものがあるようだ。が…気になったのは「用水路をなおしています」の看板。そして行く手からは、どう聞いても重機が動いている音が。…イヤな予感。
 
 
まあとりあえず、
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行ってみるしかない。距離は残り僅かなようだし。
 
 
 
坂を登りきってみると、
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あっちゃー、コレはヤバイ!?
 
ちょうど、我々を追い抜いて到着したばかりの軽トラから作業員の方が降りて来られたので尋ねてみると、現在隧道の絶賛改修中だという。ぅわ~、マジか!
 
 
 
お願いして少し入らせていただくと…
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あっ、見えた!
 
そこにはネットで見ていた通りのお姿が。小ぶりなものだろうと思っていたが、それを少し下回るほどのサイズだった。で、ここまでで危惧していたような、ポータルがガッツリ改修されるような事態にはならなそうで、ホッとひと安心。

 

 
この明護隧道、水の確保に悩んだ市場地区の人たちが8年の歳月をかけて大正4(1915)年に完成させた延長700m超の水路隧道で、山向こうである地子原地内の北川から取水して、この市場地区へと導水している。現在も使われているバリバリの現役施設であり、ネット上で場所が明示されてないのはそのあたりが理由かもしれない(知らんけど)。
 
 
 
 
さて、この改修工事だが、
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洞内に向けて、大きな管が挿管されている。
 
作業員の方のお話では、素掘の洞内がたびたび崩落を起こすため、その改修だという。いよいよ洞内がモルタルで巻かれるのか、あるいは管が通されるのか。この改修のため、今年は田んぼを休んでもらって、来春までかけて工事するとか。大変なことだ。
 
実際に入坑しておられる作業員さんから伺った貴重なお話として、両側から掘り進められたらしい隧道、やはり誤差が生じて貫通点では数mほどずれていたため、その部分は屈曲しているのだとか。それでも、「そんな昔にこんなの造るなんて、昔の人は凄いね~」とおっしゃっていた。
 
 
扁額。
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「明護隧道」と刻まれている。
 
 
最初に道を尋ねた男性には、一般人(謎)にもわかりやすいように「山の向こうから水を引いてきてるトンネル」と表現したところ「ああ、明護坂の隧道やな」と。「トンネル」でなく「隧道」と言われたのがおおっ!となった。
戻りに挨拶をかわしたご高齢のおばあさんも、「明護坂の隧道を見てきました」と言うと一発で理解されていたし、やはり地域の方の生活に根差した、現役の用水路隧道だからだろう。
 
 
えてして地域の方にも認知されていなかったりするこれまでの体験が多かっただけになんか嬉しかった、明護隧道訪問。来春以降にぜひ再訪を、今度は反対側の探索も併せてチャレンジしたい所存だ。
 
 
 
いじょう。