【1】より続く。
時刻は午前7時27分。小河橋を渡り、さらに秘境へと分け入っていく。なんと寒々しい光景…。
7時37分。見たかったもののひとつが、対岸に。
おわかりだろうか?対岸の断崖絶壁にガッツリと刻まれた片洞門が。
片洞門に抱かれた平場。ズームで撮ってさえいない自分を呪うばかり(泣)。アレこそは、かつての二ノ俣林鉄の軌道跡なのだそうだ。激しく萌える!けど、わたくしごときではとうていアタックは無理だろう。
で…なにげに気づかれただろうか、グングンと遠ざかっていく谷底、その高さに。
そこからすぐ。
本日最初の崩落現場。
上からザラっときている。もちろん右側は絶壁だ。しかし、後々知ることになる。
こんなん、ひこにゃん並みにカワイイもんだった、と(笑)。
林道全域で
こうしたカーブミラーはけっこうしっかりと残っていた。路面状況に比して、真新しくさえ見えるものとか、そのミスマッチには各所で興味を惹かれた。
当前ながらかつては普通に四輪自動車を通していたこの林道、もとより廃道となっているわけではない。災害復旧がおいつかずに結果として交通不能、という林道あるあるな類いの道。
いつからこんな状態になったのだか…
路盤を覆う落石もすっかり苔むしている。一年や二年の話ではないんだろう…。
ちなみに目ざとい方は、写真右寄りに見える錆びた金属に「キョピーーン!」とキタかもしれない(笑)。 さよう、アレは古レール。道路を横断する溝の蓋がわりに使用されていた。
…撮ってないけどな!(涙)
かわりにこんなんは撮ってたぜ!
古レール転用の、ガード(文字通り)レール!
イイねぇ~!明らかに林鉄用の、細いレールだった。
林道はさほど急勾配にもならず、等高線に忠実に、登っていく。
右側は相変わらず絶壁だが、樹木が適当に生えているのでさほど恐怖は感じない。対して、左側の崖がのしかからんばかりになってきた。
徐々に牙を剥きつつあるのか、白倉林道!?
そもそも、なぜ我々決死隊はこんなところへ来たのか?合同探索のきっかけは【序】で書いたとおりであり、メンバーそれぞれ思うところはあっただろうけど、我が目的は明確。…「アレ」しかない!
そして7時50分。進軍開始から約3km。それはけっこう 唐 突 だった。
隧 道 登 場 。
谷筋に沿って登ってきた林道がついにこらえきれなくなったその場所に穿たれているのが、この白倉1号隧道である。そう、「アレ」とはもちろん(笑)隧道のことナリ。改めて、場所はコチラ。
銘板もない素掘りやのに、なんで名称を断言できるかといえば、なんとこの隧道、我々のバイブル、「トンネルリスト」(平成16年度道路施設現況調査/国土交通省)にちゃーんと「シラクラ1ゴウズイドウ」として記載されているんであーる。そこに記載されているスペックは…
昭和37年建設、延長90m、幅員3.6m、有効高4.7m。
トラックだって通れるビッグサイズ!林業用と考えれば当然か。
上記のスペックを踏まえて、ご覧あれ。
比較物がなくてナニなんやけど、デカイ!実用一辺倒の、剛健な香りがする。そして特筆すべきは、洞内路面のキレイさよ!久々に目にしたクリアな舗装面。崩落もほとんどなく安定してるってことか…。
そして…1号隧道の名前は伊達ではない。1号ということは、この先にも隧道が控えているということ。
先の「トンネルリスト」に記載されているのは「シラクラ1ゴウズイドウ」から「シラクラ4ゴウズイドウ」の4本。だが、決死隊は知っている…それでは済まないことを。
入洞前に、振り返り。
現世へと通じる命の道。
背後には、魔境へと通じる穴。
この日の到達地点まで、この時点でまだ3分の1も来ていない。なのに…今にして思えば、道を道として愛でる余裕があったのは、ここまでだったように思う。この先は…
1号隧道を抜けて振り返り。 まさに、魔界門の佇まいではないか?
そう、ここから先は、もはや
人外魔境。
8時00分ジャスト、魔境へと歩み入った決死隊。その覚悟を問うがごとくに我々を迎えるは…
【3】に続く。