皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます!
【序】より続く。
*この連載内において歴史的な解説部分は、ほぼすべて「山さ行がねが」でのヨッキれん氏による調査結果を下敷きにしている。まずは感謝申し上げます。
なんと!
林道は小匠ダムの堤体をぶち抜いている!
実はこの小匠ダム、「防災ダム」ということで、このダムが位置する小匠川の水量がエライことにならない限りは、そのまま水を流している。つまり、湛水する必要がないので、堤体に穴があいてたって問題ない、ということのようである。
ダムはド素人のわたくしだが、ダム愛好者の間では、穴あきダムとしてけっこう有名らしいこのダム、場所はコチラ。
我ら穴好きとしては、やはり激しく気になるのは、
この隧道。と言い切ってしまいたいが、
扁額には
「小匠防災堰堤」
カッコイイ!コレはカッコイイわ~。けど…果たしてコレは隧道なのか?
ちなみに、トンネルリスト(「平成16年度道路施設現況調査」/国道交通省)には掲載されていない。
まあいい。わたくしは隧道としてカウントしようっと(笑)。
洞内(堤内?笑)は
型枠くっきりのコンクリート打ち。
抜けた先はけっこう危険な香りを発散している。
いつかはわからないが、この先が大規模に崩れたようだ。現在は復旧途中のようだが、いよいよこの奥への車乗り入れは慎重判断せねば…。
が、それはまだ置いといて。
小匠ダムの堰堤隧道、その象徴的なシーンは、こちら側からでないと拝めない。
こうして見ると異常渇水にしか見えないけど、苔の付着具合から、このような水位が常態であると知れる。
で、お見せしたいのはコレじゃなくて、
まずは引きで。
…と言いつつまともな写真が撮れてなかったので、帰りに撮った動画からのキャプで恐縮。
おわかりだろうか?隧道上に設置された
ギロツィイーーン!!(by mt.tellさん)
通称「ギロチン」。
前述のとおり通常は水を貯めないこのダムだが、防災堰堤がその本来の役目を果たさんとする時には、この止水ゲートが降下して林道を遮断するのである。つまりここから上流側の林道は、
「イザという時」には現世から切り離されることになる。
この林道が目指す樫山地区は、太平洋へと注ぐ太田川の支流である小匠川、その流れを遡上した最上流部に位置し、行政区こそ古座川町であるものの、永く那智勝浦町からしか到達できない場所だった。
そこへ車道…つまりこの林道が通じたのは昭和中期ごろのよう(根拠はおいおい…)だが、樫山は過疎化の一途を辿り、現在では定住者のいない無住の地となっている。
この林道から分岐するいくつかの林道支線にもかつていくつかの集落が点在していたようだが、ぞれらもすべて現在は無住。よって…
万が一この堰堤が閉じられても、上流域で孤立する集落は、もはや存在しないのである…寂しいことに。
そんな状況で、このダムから上流への道路状況は、推して知るべし。
さて、どうするか。
上の写真でわかるとおり、この時現在進行形で林道に補修の手が入っていた。実は、現地には時間制限での車輌通行止め標識が掲出されており、そこには「日曜を除く」とあった(この日は土曜日であり、作業日にあたっていた)。
通行止めになるならば、このダム周辺に駐車していかなければならない。また駐車するにしても、ダムの手前の広場には工事事務所が設置され、駐車スペースは非常に限られている。そこでは邪魔にならないか?正直、これ以上は危険な香りがするので乗り入れたくなかった(笑)。
工事事務所に何人かおられたので、挨拶がてら状況を伺ってみると、「今日は作業しない(通行止めはしない)からイイよ~」と。
ただ駐車についてはやはり作業車の邪魔になるので(アチャー)、もう少し奥の広場に停めてもらえれば…とのことで、
指定された場所まで移動。
本日はとびっきりの快晴。天気予報的にも、あの止水ゲートが降りるような事態にはなりっこない。それでも、あの「現世との境」を超えて車を乗り入れていくのは、ちょっと背筋がゾクゾクするような感覚を覚えた。
この大規模な補修現場、実は右側法面上にも道ができており、ダム手前からつながっているようだった。単なる作業道なのか、あるいは…まさか、林道の付け替えが行われるのか?もしもそうなれば…あの堰堤隧道は閉鎖されるのか?
帰りにでも工事の方に伺おうと思って忘れていた…(泣)。
走ること4~500m、
おお~、ココだ~。
ご指定の駐車場所。
この先に道があるようには見えない。
間違いない、
ここが普通車限界点であることは。…と、この時は思っていた。
で…
林道の続きってのは?
やはり、コレですな…。
かくして、2015年末時点での普通車限界点まではなんとかたどり着いた。
いよいよここからは、この道を歩いていく。はるか樫山の地まで。
【2】に続く。