【12】より続く。
※この連載内での道の歴史に関わる部分は、ほぼすべて「山さ行がねが」管理人・ヨッキれん氏の調査の成果から引用・拝借しています。大いに感謝。最後にリンク張ります。
閉ざされた谷奥からの、
あまりに鮮やかな場面転換。
豪快な切り通しで障壁をぶち抜くと、
なんということでしょう!
過去数時間とは全くの別世界へと誘われたがごとく、明るく拓けた斜面を望む場所へと躍り出た。
ここが樫山、憧れの地。
時刻は12時29分。進軍開始より3時間58分が経過していた。
バッテリー問題によってここからの拓けた景色を撮り損ねたことが、この探索最大の悔いかなぁ…((嗚咽)。
つうわけで写真はないのだが、燦々と陽の降り注ぐ樫山の明るい情景をいっとき堪能、到達の感慨を楽しんだ。
しかし…我が下手くそ写真では伝わりきらないだろうが、
谷奥から樫山へのこのわずか10mでの場面転換は、
わたくしの経験値の中でも屈指の鮮やかさ。
まるで違うステージへとワープしたかのような。
向かって右の標識はさりげなくも断固として、「これより車両通行止」であると宣言している。…守られてないけどな!
2枚上の写真でわかるとおり、このすぐ背後には、今までの道はなんやったんや!?と言いたくなるような立派な橋が。
しかし小匠川沿いをよく見ると、
「あの感じの道」がまだ続いていた。
これこそが「あの道」の続き。林道樫山小匠線の最終パートに違いない。
ほどなくして、
古めかしい橋が登場。
先ほどの橋もこの橋も、親柱や銘板の類いは一切なかったので名称は不明なのだが、その名称、おそらくは新旧の「樫山橋」以外に考えられないだろうと。
なので、かつては…てか、この樫山に古座川町側からの道路(林道樫山線)が到達するまでは、この橋が小匠側からの表玄関だったのだと思われる。
渡って振り返り。
このように四輪がギリな幅員はあるものの、取り付きの形状からもあまり車の走行は考えられていないように思える(あれじゃ橋に進入するのは至難の業だ)。
なぜなら、
渡りきったところで
車道の体裁は消失、完全人道だけが上へと伸びている。
車はどうしてたのかなあ。やっぱり「(現)樫山橋」の位置にも早くから車道橋があったのだろうか。
その坂を、味わうようにゆっくり登り…
ようやく名実ともに、樫山の集落へと到達した。
そこからのパノラマがコチラ。
非常にわかりにくいが、右端あたりに旧樫山橋がある。
明るい陽射しが無人の集落を余すところなく照らしていた。耕作が放棄された畑の真ん中を登っていくこの道(これ、まだ林道の続きなのか?)は、
行く手の舗装道路にぶつかって終わっていた。
ゴール。
ようやく明確に、「ここがゴールだ」と思えた。樫山集落内のこの立派な舗装道路が、林道樫山線。これは樫山から出て行く方向を見ている。
古座川町側からようやくこの道が樫山へと到達したのは、昭和末期~平成初期頃のよう。
そんな最近まで、この樫山へと至る車道は、「あの道」しかなかったのである。コレは凄いことだ…。
改めて振り返り。時刻は12時35分。進軍開始から4時間4分。
感無量で歩んできた道を見つめる。実際はどうだか知らないが、わたくしの中ではここが林道の終点だった。
2枚上の写真左の小さな看板には、手書きで「地成権現 約50m→」とあった。行ってみたが、いまいち判然としない。とりあえずそれっぽいお地蔵様(写真なし)に無事到着の御礼と帰路の安全を祈願した(ちなみにこういった場合、わたくし必ずいくばくかのお賽銭を置いてくる派であります)。
そしてその後は…
ランチタ~イム(笑)。
いや、那智駅近くのコンビニで買ってきた助六ですけどさ(笑)。
しかしまあ、とにかく気持ちよかった。12月末とは思えない、とびっきりのほんわか陽気。コレは神様仏様からわたくしへのご褒美に違いない…とか、愚にもつかないことを考えるほどだった(笑)。あまりの心地良さに、
ほぼ初めての自分撮り…しかもけっこう遠くからタイマーで(爆)。
ここで寝っ転がってしばし午睡を…という非常に魅力的な思いつきをしばしもてあそんだ。む~、そうしたかったが、やはり徒歩での帰路のことや、他にも行きたいところもあるので、今回はやめておいたよ。
また、いつかな。
12時57分、再始動。改めて樫山集落内を散策。
集落内にはいくつかの家屋が散在していたが、事前情報通りやはり無住状態、人の気配は皆無だった。そんな中で何戸か、現在も人の手が入っていそうな建物もあった。
例えば上の写真右側の家とか。
定期的に戻られているのだろう。そういった建物は、撮影は控えておいた。
個人的に、この樫山の地でもっとも惹かれたのがこのシーン。
正面の建物入口に掲げられていた額?には
かすれて見にくいが、右書きで「共敬社」と墨書されていた。
どういう意味なのか…検索してみたが、いまいちよくわからなかった…。でも農業関連の言葉っぽい。
かつての広場らしき場所に残る、
朽ちた木。
わたくしの中で、あの切り通しを抜けた瞬間の絶大なる開放感と並んで、樫山を象徴する記憶となって残っている。
すみずみまで見て回るでもなく、充分に満足した。憧れの樫山、来て良かった。本当に。
ありがとう樫山。
また来よう…
いつか。
13時8分。帰投作戦に移行。
数少ない、帰路での一枚。
わかるかな?あの猟師オジイ軽トラを遠望(笑)。
撃たれないように(笑)、エレカシを歌いながら帰ったよ(爆)。
あとはほぼ無休憩、無撮影なんで早かった~。
14時52分。
ただいま~、ノートさん!
総探索時間6時間21分。
総進軍距離、約14.6km。
ソロとしては時間・距離ともに過去最長の探索、かくして無事終了。この極上の道を素晴らしい条件のもと探索できたことは、この上ない幸せでありました。感謝。
おまけとして、帰りに撮ったヘボ動画。ギロチンをもう一度お楽しみください(笑)。
最後にお約束の全体図を。
拡大してご覧あれ。
そして最後の最後に(笑)。
この道に行こうと思わせてくれた、また歴史考察部分を雑な感じにパクらせていただいた(爆)先人、ヨッキれん氏に感謝するとともに、その素晴らしい記事にリンクしておく。
未見の方は必見。特に序盤、度肝抜かれますよ。
以上、ようやく完結。
本記事の小匠川のごとき長のお付き合い、ありがとうございました。