【1】より
斜陽が作り出した山影の中に、まるで幻影のように現れた異形の穴。ゾクっときた。この強烈なオーラ。限られた廃隧道のみが放つ「魔気」だろうか。だってコレ、もはや…。
この祠から右へと登る道型らしきものがあったが、撮影し忘れていた。おそらく隧道が穿たれる前の峠越え道ではないだろうか。
いざ、改めて坑口と向き合う。ネットで見たとおり。分かっちゃいるけど、このイカツさは何なの(汗)。瞳形に開口したその様。まるで…Evil eye=邪眼だ。
アーチは…石組みだ。しかしながら、かなり崩落、崩壊が進んでいる。正直、危機的状況だ。いったいいつまで保つだろうか。こんなん、入らないほうがいいに決まってるのである。
けど、そうはいくまい。
まさに顎(あぎと)。
このとば口へ至って、ようやく欠円アーチであることを確認。それにしても、近くで見ると、アーチの脆弱さが際立つ。埋没しているせいでひときわ扁平に見える、たった一層の欠円アーチ。怖えぇ…。
では、いざ、入洞。
お気づきかと思いますが、こんなんなってんすよ(爆)。
低ぅ
元々の高さは不明だが、ある程度土砂の流入があったと見るべきだろう。注目すべきは、この洞内天井部。アーチではなく、中央部が高くなった形状。かなり扁平ながら、これは日本古来の掘り方、いわゆる「観音掘り」ってヤツだ。さすがの明治15年勢。
余談だが、自分がこれまでに訪ねた竣功年が明確になっている隧道の中で、この隧道は二番目に古い。加えて言うなら、我が古隧道ベスト10の中で土木遺産に指定されてないのはこの隧道だけである。いや、土木遺産はおろか、行政にもほぼ無視されているように思える。なんと不憫な…。
ここで振り返り。
絶景廃景。