遥かなる摺子発電所 【6】 (奈良県吉野郡下北山村下桑原) | 穴と橋とあれやらこれやら

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初めまして。ヤフーブログ出身、隧道や橋といった土木構造物などを訪ねた記録を、時系列無視で記事にしています。古い情報にご注意を。その他、雑多なネタを展開中。

 
【5】より続く。
 
 
 
激しいボケボケ写真で恐縮だが、
 
薄ぼんやりとした明かりが近づいてくるにつれ、ハッキリした。
 
 
まさかの、天井に穴。

 

 

いや、これは穴じゃない。明確に残った型枠痕が、場所打ちコンクリートできっちりと成形されたことを物語っている。
 
 
この開口部は、つまり、
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通気口、または明かり取りのいずれか、あるいは両方。

 

この導水路隧道兼用の落筏路は、筏師たちも一緒に下ったと言われている。碍子が残っていたことから、電気は引かれて一定間隔で明かりはあったのかもしれないが、人も通過するとなれば、やはり空気(酸素)のことは気になるところ。となると、やはり通気口か?

 

とにかくこの開口部のおかげで外光を拝めたのは良かったが、登れるようなものではまったくなく、外の様子は知ることができない。そして、(最初の写真でもわかるように)おそらくこの開口部から入りこんできたのであろう土砂や岩で、洞床がほぼ埋め尽くされてしまっていた。
 
 
このことが、困った事態を引き起こしていた・・・。
 
 
 
フラッシュ焚いたら全然違う印象に見えるが、
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この開口部の向こうで足を止めている仲間たち。
 
 
 
 
そこに合流して見れば・・・
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没。終わった!?のか!?
 
上の写真はピカさんご提供。左からきょくちょ~さん、おろろんさん、YO314さん、わたくし、ぱぱんさん。おっと、ぱぱんさんの頭上にこうもりさんが(笑)。
 
 
弩水没のその先は、果てしなき漆黒の闇の世界。コレはハードル高ぇわ~・・・
 
 
が、よく見ると・・・誰か・・・
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やっぱり逝っちゃってるよ、よとと隊長。色んな意味で(笑)。
 
そりゃそうだ、あのお方がこのくらいであきらめるはずがない(笑)。
 
けっこうな水深なのだが、洞床が中央に向けて緩傾斜がついているため、端はなんとか長靴でチャレンジできそう。つまり側壁に沿っていけば、まだ進める!
 
 
 
遅れてはならじと(笑)
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ぱぱんさんに続いて突撃!
 
 
 
 
こちら、ピカさんご提供写真。
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入水直後のわたくし。死出の旅へ(笑)。
 
もちろんピカさんも続かれた。
 
 
 
ちょうど上の写真を撮られた時に何をしてたかと言えば、
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こんなのを撮ってました。
 
強烈な泥濘。いきなりこの状態に少々ひるんだが、このくらいで退いてられっか!というわけで、
 
9時14分、泥の海に突撃開始。
 
 
 
マジ地獄の始まりだった。
 
 
 
最初のうちは、写真を撮る余裕があったのよ。
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改めて、側壁を撮ってみた一枚。
 
何十年も水流にさらされてきたことを考えれば、けっこういい状態かと。上質なコンクリートが使われたのかな?
 
 
 
いつしか洞内はまた、
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「天井レス」(笑)に。
 
相当に堅牢なんだろうか。たしかに崩落は一度も見なかったな、確か・・・。
 
 
 
・・・。足元は、ひたすらに
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微妙な深さの水、そしてその下に隠れた軟泥。
 
この泥が、いけねぇいけねぇ、もういけねぇ(爆)。
 
最初のうちはこのような軟泥だったのだが、
 
 
 
徐々に、
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カレールゥ的なビジュアルに(爆)。
 
が、コレ、見かけほどしっかりしてるわけじゃない。
 
 
 
足を置いて、次の一歩を出そうとした瞬間に、
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ズボっと沈む。
 
そして、がっちりと長靴を咥えこむので、抜くのがまた一苦労。体力と精神力をガッツリと削ってゆく・・・。
 
 
たちまち、写真を撮り続ける気力は奪われた。
 
 
この日ひしひしと感じた、泥濘の脅威。局面や状況によっちゃあ、マジで危険だ。
 
 
 
9時34分に撮ってる写真。
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なんか、怖い。
 
まったくどこにもピントが合ってないこの写真を見ると、今でも鮮明に思い出せる。あの泥の感触・・・。独りだったら、相当精神的にヤバかったと思う。
 
 
あー!
きっついよーー!!
 
めっちゃ歩いた気するねんけど!
 
もはや距離も定かでない。
 
 
 
 
苦闘を続けること約25分。次なるアレが登場。
 
 
 
 
【7】に続く。