【1】より続く。
改めて、これが鳥越隧道・熊野市側坑口。
コンクリの胸壁に切石(かどうか、この時点では確信持てず)によるアーチ環。このあたりは比較的堅牢に見えるが、洞内はここからでもヤバげな様子が見て取れる…。ではじっくり見ていこう。
まず扁額。前回とかぶる画像ばかりで申し訳ない。
名称を知ってなければまず読めないが、「鳥越隧道」と書かれているように思える。左端には何らかの記述があるが、画素数の貧弱な先代機なので、解読不能。
次の特筆ポイントは、向かって左側の迫受石に刻まれたコレ。
「請負人 津市 平田組」
そして向かって右の迫受石には
「月五年八和昭工起
月六年九和昭工竣」
おお、ありがたや!超具体的情報を得られた。
そして、10mほどはコンクリで巻かれているのだが、ここがまあヤバい!
ドン!
ドン!
ドン!
強烈な傷み具合。ヘンな言い回しだが、廃隧道の面目躍如ってとこか。
路面は水びたし、そして落ちてきたツララの破片(瀧汗)。あんなん落ちてきてさくっと刺さったら…。
昔の漫画か!
ってわけで…。
初めて見る、廃隧道の大氷柱。そして極めて廃色の濃い情景に魅せられて、入り口付近で遊びすぎた。
この物件がブレイクスルーとなったとか書いたが、まあ劇的な話じゃないのだ。この物件までにも、まあ自分なりに廃隧道の場数は踏んできた。が…気付いてみれば、それらは短いとか、ソロではないとか、そもそも立ち入りが不可能だったり。まあ要は、「メンタル的にチョロイ」部類の物件がほとんどだったのである。
元来そこそこのヘタレである自分(爆)、この時点までに出会った、ハードルの高かった物件は通り抜けを断念してきた。危険を感じてではなく、ただ怖かったから。よって、これまで先の見通せない廃隧道を抜けたことは皆無だった。
この隧道の延長は、隧道リストによると430.4m。ほぼ一直線だが、中央付近がサミット(頂点)となっているために、向こうの明かりは一切見えない。加えてこの強烈な廃景、水浸しの道床。そして現在時刻は14時46分。深い時間ではないが、12月末という時期にこの山奥では、徐々に残り時間を意識してしまう時間帯に入ってきている。心理的なハードルを上げる要素には事欠かなかったこの日。だが…今日は違う。行ける気がした。
それは照明がプチ進化したからである。これまでたいまつしか持ってなかったのにレミーラ使えるようになりました、的な(古っ)自信が後押ししてくれた。今考えればそれでもまったく貧弱な照明だったけど…。勢いとは怖いものよ…。
そんなこんなで、今日は勝つ!!
行くぞおりゃぁああ!!
【3】へ続く!