【1】より続く。
「遥かなる摺子発電所」とかタイトル付けておきながら、すでに発電所にさくっと到達。「こっからがホンキ」とか、今回からはタイトルと内容が整合していない状況でありますが、まぁ細かいことは気にすんなよ(笑)。
なんかこのタイトルにしたかったんですもの。つまり何が言いたいかって~と、
「遥かなる」なのは、ここからなのだ。
半水没した発電所建屋の裏手、つまり山側。
有り得ない位置に開口する、
こんな穴。
これこそが我々の目的地・・・ではないな、目的の物件。ご覧のように、村道からは崖をよじ登らないと、その坑口に立てない。つまり、村道に接続するものではまったくない、ということ。
そして、よく見ていただきたい。
コンクリートで巻かれており、なおかつ斜めに削り取られている。
この穴の正体。それは・・・
落筏路(らくばつろ)。
北山川は、伐り出した木材を組んで流す、いわゆる筏(いかだ)流しが盛んだった。摺子発電所の建造に先立ち、発電用の取水によって筏流しに支障が出る、ということで村と揉めた結果、「筏も発電所の導水路を通って下ればいい」という落とし所となり、建設されたのがこの落筏路、なのである。
取水堰堤(現在は池原ダム湖に沈んでいる)から、蛇行する北山川をショートカットする形で山中を延々3kmに及ぶ水路隧道で導水し、発電所直前(直上)で発電用水が向かう貯水槽とこの落筏路に分岐。
水は貯水槽から発電所へ。そして筏は分岐点からスロープ状となった落筏路をすべり降りて、北山川へ。
衝撃的な姿で有名な、摺子発電所建屋。だが実はそれに加えて、これら水路隧道や落筏路のほぼすべてが現存しており、「その気になれば」探索も可能である、ということをわたくしが知ったのは、「廃道をゆく2」における永冨謙氏(nagajis氏)の記事だった。
非常に気になっていたところに、よとと隊長がその探索を敢行されるということで、好機をとらえてその末席に加えていただいた、という次第。
今見ているこの位置は、
落筏路がちょうど地表に現れた場所。
ここからさらにスロープ状に延びて北山川へとつながっていた。この道が開かれた時に、けっこう荒っぽく削られちゃったようだ。
もちろん、今からこの中に進入、落筏路から導水路隧道へ、奥へ奥へと探索を進めていく。
時刻は8時27分、落筏路によじ登り、いよいよ探索がスタート。それこそ「遥かなる」苦行となった・・・。
坑口から振り返り。
帰りに撮ったもので明るさが違うが、見た目こんな感じ。高い!
ぱぱんさん、お元気かなぁ・・・。
向き直れば、
ようやくお目にかける、落筏路内部。
筏を流すための勾配にお気づきだろうか?永冨氏の記事によると、その勾配は10%。歩くと、明らかに坂だと感じる。ちなみに延長は300mだそう。
それにしても、筏を流したにしては狭い印象。これはけっこう、苦労したのじゃないかなぁ・・・。
当然ながら、そこは漆黒の闇。
ひどい写真だけど、
雰囲気は感じていただけるかと・・・。
8時33分。目前の様子が・・・
う、うわぁ・・・
【3】に続く。