HACCP文書作成ツールの体験使用をしてみて | 広田鉄磨のブログ

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多くの会社からHACCP支援ツールが上梓されていると思います。依頼を受けて 私もこれで2社の製品・プロトタイプに触れてみました

 

どちらであっても気になったところ:

清浄区・非清浄区などの選択があります。しかし それが使いやすさにつながるかといえば とくに飲食・給食などでは どうでしょう? 飲食の場合 原材料下処理は 厨房で行われることがほとんどです。厨房は いわゆる そんじょそこらのHACCP教本でいえば 清浄区であるべきとなります(これは 私どものHACCP教本では 大きな疑問を投げかけています 

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実際 厨房の床を拭き取ってみますと それは おぞましいほどの菌数で とても清浄区とはよべないということにきづいてもらえるのではないでしょうか。
 
下処理であるから 非清浄区(とくには通常区)、最終調理・盛り付けであるから清浄区(または清潔区)という区分けを 同じ部屋の中 それも 狭い空間で 作業者が行き来し 作業を掛け持ち・交代している中で 無理矢理に仕切ることが それほど重要なものでしょうか。水平方向としてのゾーニングではなく 垂直方向であればまだしも機能するとはおもいます。そのことを経験的に知っていて 床から60cmまでは 食材を置かないように なんて どうどうと謳っているのに いざゾーニングとなると水平方向を持ち出してくる。そこが本当に清浄区であるなら 床もまた清浄であるはずで 床からのはね水もまた清浄でなければなりません。
 
本来 生物学的危害要因の制御のなかで 区域分けは 4原則(持ち込まない、くっつけない、増やさない、やっつける)のうち 「くっつけない」原則を積極的に 作業環境に組み込もうというのが主旨であったはずです。その「くっつけない」環境は 単に無理矢理な 機能しない線引きをすることでなどで達成はされません。室内の壁・床を洗浄・清掃しやすく構築したり、天井から清浄な空気の流れを作り出したり、厨房は陽圧であって 周囲に対して高い気圧をもっているように設計したりです。実際の厨房は どうなっているでしょう? このような条件すべてを完璧に具備している厨房など 私は過去に一回も見たことがありません。特に厨房の陽圧化など 排熱の多い厨房機器の上では 強制排気 どんどん空気を室外に排出しているのに それを上回る量の空気を 清浄化し(夏場・冬場は)調温して 厨房に送り込めとでもいうのでしょうか。
 
では飲食業における生物学的危害要因管理は 「もちこまない」、「増やさない」、「やっつける」に傾斜したものであるべきで (アメリカの食事のように単純化ができない) 生食の多い日本食の形態では 「もちこまない」「やっつける」にはあまり期待できないものが多く 畢竟 「増やさない」の比重がたかまってはきませんでしょうか。 「増やさない」の大半は 温度管理であり時間管理 そして経験的に飲食店は この二つに大きな力をそそいでいます
 
であれば 機能しないゾーニングより、選択肢は 温度管理とするべきではないか というのが 私の忌憚のない意見提出となりました
 
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