福島「おだやか 生酛 純米吟醸」ごくごくオーソドックスで平均的な世界を演じる | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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自宅に晩酌に福島県田村町の仁井田本家さんが醸しているお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

1本目はこれです。

 

 

「おだやか 生酛 純米吟醸」。

 

1711年創業という長い歴史を誇り、いまは18代目という仁井田本家ですが、酒造りについては、いろいろなこだわりをつきつめて、異彩を放っています。

 

蔵の一番のこだわりは米と水です。

 

2000年以前から「酒に使う米はできるだけ自然のものにしよう」と方針を決め、自社田も契約栽培農家も無農薬で米を作ることから始め、肥料についてもまずは有機肥料に切り替え、最後は無肥料へと邁進してきました。

2009年時点では2011年には全量を無農薬・無肥料の米で1500石の酒を造る日本で唯一無二の蔵になる予定でした。

 

 

ところがその直前の2011年3月に東日本大震災に伴って原発事故が発生。

福島県の農家も一気に苦境に立たされました。特に有機栽培米の顧客離れが目立ち、これを見た蔵元の仁井田穏彦社長は売れ残った有機栽培米を積極的に受け入れることにしたのです。

このため、無農薬・無肥料蔵のゴールはいったん遠くなり、いまもなお、完全な無肥料にはなっていません(自社田は無農薬・無肥料を実現しています)。

ただし、仁井田社長は「災難ではありましたが、結果として回り道して良かったこともたくさんあり、いまは前向きに受け止めています」と話していました。

 

さて、1本目は60%精米の純米吟醸酒です。

生酛表示がありますが、仁井田本家は現在、全量生酛なのです。

その辺のことは2本目以降でまとめて紹介します。

 

 

上立ち香は凡庸な酒エキスの香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、ツルツルの感触をアピールしながら、まっしぐらに転がり込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさの硬めの粒々を速射してきます。

 

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系の乾いたタイプ、旨味はシンプルでやや朴訥な印象で、両者は足並みを揃えて静かに目立たないように舞うのです。

 

流れてくる含み香も平凡な酒エキスの香り。

後から酸味と渋味がごくわずかに現れて、薄氷の輪郭を施すのに留まります。

味わいは時間の経過とともに色あせていく印象で、最後はゆっくりと喉の奥へと吸い込まれていきました。

 

 

生酛酒らしくない仕上がりでした。

それでは、仁井田本家のお酒、2本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(25年129銘柄目)

銘柄名「おだやか 生酛 純米吟醸 2024BY」

酒蔵「仁井田本家(福島県田村町)」

分類「純米吟醸酒」「生酛酒」

原料米「不明」

酵母「協会14号(のはず)」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み)「720ml=1600円」

評価「★★★★(7.45点)」