米国「獺祭 Blue Type23 純米大吟醸」香り抑えめで余韻がやや長い | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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美酒「獺祭」を醸す旭酒造(山口県岩国市)が計画を進めてきた米国での清酒醸造が、2023年暮れから始まりました。

造ったお酒のごく一部を旭酒造が自身で日本に輸入販売をしたので、これを機会に同じスペックの内外のお酒を吞み比べることにしました。

 

 

新しいニューヨークの醸造所は生産能力は7000石ですが、初年度は1000石前後です。

日本から醸造責任者含めて4~5人が派遣され、地元採用の蔵人は7人でスタートしています。

米国の人件費は高く、蔵の清掃のアルバイトでも時給は4000円というから驚きです。

このため、最もスタンダードな50%精米の純米大吟醸で35ドルで売り出しています。

日本から輸入している獺祭のおよそ半額ぐらいになるかと思います。

 

 

これにより、これまでは高額のレストランが中心だった販路がさらに広がる見込みです。

美味しい日本酒に出会える所得層が広がることは、米国のアルコール市場における日本酒のシェア拡大に貢献してくれるものと思います。

是非、頑張って下さい。

 

さて、いよいよ米国産の獺祭をいただくことにします。

 

 

上立ち香は上品な甘い香りが国産よりも少なめに。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、良く磨き込んで鏡面のようになった表面にワックスをかけて、ツルツルの感触を振りまきながら、伸びやかに滑り込んできます。

 

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのクリスタル様の粒々を連射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は99.9%純度の透明感に優れたタイプ、旨味はシンプル無垢で柔らかなテクスチャーで、両者は足並みを揃えて、ふわふわとした真綿のような舞いを見せます。

 

流れてくる含み香は国産よりもずっと抑えめの香りで薄化粧を付与。

後から酸味と渋味が少量現れて、適度に引き締めるのです。

味わいは終盤までほんわかとしたムードが続き、飲み下した後の余韻は国産よりもやや長いものでした。

 

 

微妙に味わいは異なりました。

あえて軍配を上げるのであれば空太郎は国産を、かみさんは米国産を選びました。

旭酒造の米国進出が成功することは間違いありません。

 

お酒の情報(24年213銘柄目)

銘柄名「獺祭(だっさい)Blue Type23 純米大吟醸 2023BY」

酒蔵「旭酒造米国工場(米ニューヨーク州ハイドパーク)」

分類「純米大吟醸酒」

原料米「山田錦」

酵母「不明」

精米歩合「23%」

アルコール度数「14度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「○」

標準小売価格(税込み)「720ml=11000円」

評価「★★★★★★(7.7点)」