ある飲み会の席で非常に気になっていたお酒を吞むことができたので、ご報告します。
これです。
「理八(りはち)901 純米吟醸」。
島根県雲南市の田部竹下酒造さんが醸しているお酒です。
田部竹下酒造は2022年11月に誕生した新しい酒蔵です。
1866年創業の竹下本店が事業の存続が難しいことから、島根県の複合企業である田部グループに事業を譲渡したことで誕生しました。
竹下本店は竹下登首相やDAIGOの実家としても有名でしたが、酒は二人のような成功には至らず、「出雲誉」のお酒の売り上げも年々減少し、直近では100石も割り込む惨状でした。
廃業も視野に入っていたと思われますが、実は竹下本店の創業は、田部グループのルーツである田部家から酒造権を買い取って、スタートしたものです。
このため、事業譲渡の打診を竹下本店から受けた田部グループは迷うことなく、これに応じたというわけです。
そして、再出発に当たって、岡山の丸本酒造などで酒造りの経験を積んだ濱崎良太さんを杜氏に招いています。
新しい銘柄を竹下本店の創業者の竹下理八氏から取って、「理八」としています。
今夜いただくのは麹米に山田錦、掛米に春陽を使った純米吟醸酒です。
901とあるのは使用する酵母が協会901号だからです(別に協会1801を使った同スペックのお酒もあります)。
上立ち香はとろりとした甘い香りが鼻腔をくすぐります。
口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に薄らととろみ層を乗せて、のっそりとした雰囲気で忍び入ってきます。
受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのウエットな粒々を速射してきます。
粒から滲出してくるのは甘味8割、旨味2割。
甘味はザラメ糖系のサシが適度に入ったタイプ、旨味はシンプル無垢でひっかかりのない滑らかな印象で、両者は足並みを揃えてゆったりとワルツを舞います。
流れてくる含み香は謙虚で控え目な薄甘い香りでデコレート。
後から酸味と渋味はほとんど現れず、甘旨味は最後までマイペースでおっとりとした世界を描き切るのでした。
体制が一新したので、是非、次々と新しいタイプのお酒をデビューさせていただきたいです。
お酒の情報(24年163銘柄目)
銘柄名「理八 901 純米吟醸 2023BY」
酒蔵「田部竹下酒造(島根県雲南市)」
分類「純米吟醸酒」
原料米「麹米=山田錦、掛米=春陽」
酵母「協会901号」
精米歩合「麹米=50%、掛米=60%」
アルコール度数「15度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込み)「1800ml=3740円」
評価「★★★★★(7.5点)」