奈良「百楽門 純米大吟醸 生酒」高純度の甘味が終始、舞台を独占する | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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自宅の晩酌に、お酒を選びました。

これです。

 

 

百楽門(ひゃくらくもん)純米大吟醸 生酒」。

奈良県御所市の葛城酒造さんが醸しているお酒です。

 

葛城酒造は2022年12月、オーナーが創業家の久保伊作氏から、元会社員の谷口明美さんに移りました。

谷口さんは会社勤めをしながら「いつか物作りの世界へ身を転じたい」との思いを秘め、ある日、「目指すは日本酒造り」と心に決め、53歳にして蔵元杜氏になるという夢を現実のものにしました。

酒造りにもどっぷりと浸かり、丹精込めて造った日本酒を販売するまでのすべての酒蔵の作業を自らこなす蔵元杜氏になろうと、現在、研鑽を積んでいます。

 

 

もちろん、まだ素人に近いので、現在は久保さんが杜氏のまま、谷口さんは蔵人の1人として修業中です。

個人がM&Aで蔵元になるというのは、新潟・天領盃酒造の加登仙一さん以来、2人目だと思います。

頑張って欲しいです。

 

さて、いただくのはそんな谷口さんも蔵人に加わって造った山田錦45%精米の純米大吟醸、生酒です。

 

 

上立ち香は明快でくっきりとした芳醇な香りがたっぷりと。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、ツルツルの感触を強調しながら、流れるように滑り込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味9割、旨味1割。

甘味は99.99%純度の高貴なタイプ、旨味はシンプル無垢でつるりとした印象で、甘味は端から主役として流麗に踊るのです。

流れてくる含み香も明快でゴージャスな甘い香りで派手めにデコレート。

後から酸味は皆無、渋味が僅少で、隠し味役を担います。

甘味はペースを崩さず、最後まで色香を放ちながら潤いたっぷりの世界を描き切るのでした。

 

 

極上の甘いお酒でした。

 

お酒の情報(24年110銘柄目)

銘柄名「百楽門(ひゃくらくもん)純米大吟醸 生酒 2023BY」

酒蔵「葛城酒造(奈良県御所市)」

分類「純米大吟醸酒」「生酒」

原料米「山田錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「45%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=5500円」

評価「★★★★★(7.5点)」