日本酒に興味を持った若い世代に、手軽に日本酒を買ってもらおうと、日本酒を小口化して販売する動きが広がっています。
容器は瓶だけでなく、缶やパウチまであります。それらを順番に取り寄せて、実際のお酒の状態を見ていきたいと思っています。
今回は小口化瓶を展開する「SYURIP(シュリップ)」です。
いろいろなセットの組み合わせで販売しているシリーズの中から、山形と岐阜の酒蔵のお酒を取り寄せて、飲み比べました。
2本目はこれです。
山形県鶴岡市の奥羽自慢さんが醸しているお酒です。
2022年8月からEC販売を始めたSYURIPにお酒を供給したのは、以下の8蔵でした。
岐阜県=千古乃岩酒造
茨城県=井坂酒造店
島根県=桑原酒場、右田本店、岡田屋本店、古橋酒造、財間酒場、華泉酒造
これを最初に見た空太郎は「よくまあ、ここまでマイナーな酒蔵を集めたものだな」と思いました。
特に島根県の蔵は後者の4蔵については空太郎もまったく吞んだことのない蔵でした。
日本酒ビギナー相手の商品とはいえ、これでは、一回購入してリピートしたくなる人はいるのだろうか、と前途を危惧しました。
そうしたら、2023年5月に奥羽自慢(山形、吾有事)と神沢川酒造場(静岡、正雪)が加わったのです。
都内の地酒販売店にあるレベルの酒が登場して、ようやく、との感想を持ったわけです。
このように地酒販売の世界では、ニューカマーにとっては参入のハードルが高いのです。
果たして、SYURIPは今後、どうなるでしょうか。
さて、2本目は酒米非公表の50%精米の純米大吟醸、火入れです。
上立ち香は1本目の火先よりはカラフルな甘い香りが鼻腔を撫で回します。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に薄らととろみ層を乗せて、優雅な艶を放ちながら、ゆったりと忍び入ってきます。
受け止めて舌の上で転がすと、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのウエットで透明な粒々を速射してきます。
甘味はザラメ糖系のやや濃い目のタイプ、旨味は複数のコクが織り上がった印象で、両社は足並みを揃えて、エモーショナルなムードで踊ります。
甘旨味はやや重心が低く、軽やかではなく、重厚な雰囲気を描きながら、駆け回り、最後に飲み下した後の余韻はマイルドで適度に伸びるものでした。
2本の吾有事は特約店で購入する4合瓶と品質的には同じでした。
それでは、SYURIPのお酒、3本目をいただくことにします。
お酒の情報(24年36銘柄目)
銘柄名「吾有事(わがうじ)純米大吟醸 雲の上 2022BY」
酒蔵「奥羽自慢(山形県鶴岡市)」
販売者「カルモア(東京都中央区)
分類「純米大吟醸酒」
原料米「不明」
使用酵母「不明」
精米歩合「50%」
アルコール度数「15度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「単品不明」
評価「★★★★★(7.7点)」