長野「真田六文銭 初陣 無濾過生原酒」スタンダードな甘旨味が無難にミス無く舞う | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌に長野県上田市の山三酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて飲み比べをしました。

2本目はこれです。

真田六文銭(さなだろくもんせん)初陣 無濾過生原酒」。

 

造りを止めて、廃業目前だった蔵を、佐久市の実業家の荻原慎司さんが事業を継承し、2023年3月から酒造りを復興させたお話は、空太郎がSAKEStreetに記事を載せましたので、そちらをお読み下さい。

 

ここではそこに書き切れなかったことを紹介します。

 

2000年以降は細々と酒造りを続け、2015年から休蔵に入った山三酒造ですから、新たな設備投資は20年以上していなかったはずです。

しかし、事業継承した荻原慎司さんは、「最初はある設備で、できる範囲で酒造りをしよう」と考えていたそうです。

しかし、一定レベル以上の酒を造るには、新しくしなければ無理、ということがわかりました。

結局、麹室は日東工業製の新品を。

仕込みタンクは残っていたサーマルタンク1本と冷水ジャケットを巻いた2本を残し、そこにサーマルタンク3本を新調。

放冷機も新たに購入。

ヤブタは躯体が頑丈で使えるので、塗装を剥がして塗り直し、板は全部入れ替えています。

「結局、当初計画の2倍のお金がかかりました」と荻原さんは苦笑いをしていました。

 

さて、2本目は1本目と同じひとごこち60%精米の純米、無濾過生原酒ですが、酵母が1本目のアルプス長野酵母に対して、こちらは協会701号です。

上立ち香はフレッシュなイソアミルの香りが微かに。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡をわずかに乗せて、まっしぐらに転がり込んできます。

受け止めて保持すると、気泡のかすかな破裂を背後に聞きながら、軽快なテンポで膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味は上白糖系のやや儚いタイプ、旨味はシンプル無垢で気持ち粗削りな印象で、甘味が儚いがゆえに旨味主導で淡麗な世界を描きます。

流れてくる含み香は大人しめのイソアミルの香りで薄化粧を付与。

後から酸味と渋味が少量現れて、わずかにアクセントを付けます。

甘旨味は終盤まで旨味主導で淡くて地味めな舞いでフィニッシュを迎えるのでした。

協会7号らしい仕上がりでした。

それでは山三酒造のお酒、3本目をいただくことにします。

お酒の情報(24年28銘柄目)

銘柄名「真田六文銭(さなだろくもんせん)初陣 無濾過生原酒 2022BY」

酒蔵「山三酒造(長野県上田市)」

分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」

原料米「ひとごこち」

使用酵母「協会701号」

精米歩合「60%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=1870円」

評価「★★★★(7.2点)」