高知「久礼 純米吟醸」凡庸な甘旨味をパワフルな辛さが突き上げる | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

高知県に酒蔵取材に行きました。

初日は夜の便で高知入りしたので、深夜まで営業している「蔵の和Bar フクワウチ」にお邪魔しました。

店の名物の燻製料理をつまみに、いくつかお酒をいただきました。

 

1杯目はこれです。

久礼(くれ)純米吟醸」。

高知県中土佐町の西岡酒造店さんが醸しているお酒です。

 

西岡酒造店の創業は1781年で240年の歴史を誇る高知県内最古の酒蔵です。

建物も歴史を感じる蔵で、以前、訪れたことがあるのですが、いい雰囲気の蔵です。

 

蔵元は10代目の西岡大介さん。

2005年ごろにお酒のイベントで初めてお目に掛かった時は30代半ばだった大介さんも、2013年に社長になり、もうすぐ50歳です。

歳月の流れを感じます。

そろそろ、後継者を意識する頃でしょう。

西岡酒造店のある中土佐町は鰹の一本釣りの聖地で、やはり、お酒は圧倒的に鰹に合わせる酒質です。

燻製と合わせてすみません。

 

50%精米の純米吟醸、火入れです。

上立ち香はややチクチクとしたアルコールの香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面を砂消しゴムのような感触にして、まっしぐらに転がり込んできます。

 

受け止めて舌の上で転がすと、促されるままにキビキビとした態度で膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス球様の粒々を速射してきます。

粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系のドライなタイプ、旨味もシンプル朴訥で凹凸の目立つ印象で、両者は淡々と平板な舞いを披露します。

 

流れてくる含み香も神経質なアルコールの香り。

後から酸味と渋味はほとんど現れず、代わりに辛さが最初は少し、それが尻上がりにパワーを増し、甘旨味を激しく突き上げて、全体がモノトーンの硬い世界へといざなわれるのでした。

典型的な高知の辛口酒でした。

それでは、2杯目をいただくことにします。

 

お酒の情報(23年317銘柄目)

銘柄名「久礼(くれ)純米吟醸 2022BY」

酒蔵「西岡酒造店(高知県中土佐町)」

分類「純米吟醸酒」「火入れ酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「50%」

アルコール度数「17度」

日本酒度「+5」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「×」

標準小売価格(税込)「720ml=1800円」

評価「★★★★(97.0点)」