自宅の晩酌にお酒を選びました。
これです。
岐阜県瑞浪市の中島醸造さんが醸しているお酒です。
中島醸造は特定名称酒に軸足を移して生き残りを図るため「小左衛門」を2000年に投入。
蔵元兄弟の兄が営業を、弟が製造を担当してブランド価値の向上に力を入れてきました。
2010年近くになると岐阜の銘酒の一つとして首都圏の居酒屋でも目にするようになり、弟の中島修生さんは「学生時代、髪を七色に染めていた」などの面白いエピソードも伝わってきたのです。
その後もずっと杜氏を続けるかと思ったら、2014年には彼の下で頑張っていた渡邉良平さんにバトンを渡しました。
渡邉さんは1976年奈良県生まれ。
大阪で就職し、日本酒とは無縁の世界にいましたが、奈良・梅乃宿酒造のお酒を飲んで感動。
その酒は英国人のフィリップ・ハーパー氏(現在は京都・木下酒造の杜氏)が手掛けたお酒でした。
そして、2002年に中島醸造に入社して、その後、頑張ってきた人です。
現在は蔵の造り手の顔として活躍しています。
さて、今夜いただくのは、小左衛門の看板商品とも言える、美山錦を使った55%精米の特別純米です。
上立ち香は穏やかで柔らかな薄甘い香りが。
口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触を振りまきながら、淡々とした態度で滑り込んできます。
受け止めて保持すると、自律的にテンポよく膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス球様の粒々を速射してきます。
粒から滲み出てくるのは甘味6割、旨味4割。
甘味は上白糖系の乾いたタイプ、旨味はシンプル無垢で肌理はやや粗い印象で、両者は足並みを揃えて、厳粛な行進を始めます。
流れてくる含み香も好ましい酒エキスの香りで薄化粧を付与。
後から酸味と渋味が少量現れて効果的にメリハリをつけ、甘旨味は終盤まで木綿豆腐のような世界を描き切るのでした。
まさに、食中酒でした。
それでは、中島醸造のお酒、もう1本いただくことにします。
お酒の情報(23年297銘柄目)
銘柄名「小左衛門(こざえもん)特別純米 美山錦 2022BY」
酒蔵「中島醸造(岐阜県瑞浪市)」
分類「特別純米酒」
原料米「美山錦」
使用酵母「不明」
精米歩合「55%」
アルコール度数「15.5度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「1800ml=3080円」
評価「★★★★★(97.0点)」