山形「六根浄 純米」旨味のザラザラ感が思いがけず快適な世界を作り出す | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

六根浄(ろっこんじょう)純米」。

山形県天童市の水戸部酒造さんが醸し、山形市のLaJomon(らじょうもん)さんが販売しているお酒です。

 

このお酒はLaJomonの店主の熊谷太郎さんが水戸部酒造の酒造りを手伝い、独自ブランドとして2008年4月に誕生しました。

水戸部酒造の「山形正宗」とはひと味違うお酒は年々ファンが増えて、近年は年間一升瓶換算で1500本も売れて、個人の宅飲みのほか、県内の飲食店でも扱われて、銘柄としても評価を固めてきました。

ところが、そのお酒も今季を持って終売するのだそうです。

店主の熊谷さんは地元紙の取材に対して、

「15年が経過して一区切りつけたかった。これからはまた新しいことに挑戦して、日本酒の可能性を追求していく気持ちには変わりがない」

と話しています。

次の一手が楽しみです。

 

さて、お酒は60%精米の純米酒、火入れです。

上立ち香は痩せ気味のイソアミルの香りが仄かに。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を包み込んだとろみ層をわずかに乗せて、粛々とした態度で転がり込んできます。

 

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系の乾いたタイプ、旨味はシンプル無垢ながら、表面はざらざらとした感触で、両者は足並みを揃えて、さっぱりと、精緻な舞いを披露します。

 

流れてくる含み香は未熟な果物の堅い香りで薄化粧を付与。

後から酸味が適量、渋味が少量現れて、リンゴ酸とクエン酸のミックスした酸味が明快なメリハリを施し、味わいは終盤までワクワクとした目の離せない世界が描かれるのでした。

極上の仕上がりでした。終売はいささか残念です。

 

お酒の情報(23年236銘柄目)

銘柄名「六根浄(ろっこんじょう)純米 2022BY」

酒蔵「水戸部酒造(山形県天童市)」

分類「純米酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明(多分、協会6号

精米歩合「60%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「×」

標準小売価格(税込)「720ml=1650円」

評価「★★★★★(98点)」