宮城「Mr Summer Time 純米吟醸」繊細で情熱的な甘旨味が含み香と完璧に踊る | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

ハイレベルな日本酒25種類を3時間飲み放題できる荒木町の「居酒屋純ちゃん」にお邪魔しました。

いつものように、全部いただいたわけですが、その中で気になったお酒をいくつかご紹介します。

 

4本目はこれです。

Mr Summer Time(ミスター・サマー・タイム)純米吟醸」。

宮城県大崎市の寒梅酒造さんが醸しているお酒です。

 

寒梅酒造は今年(2023)3月に蔵の敷地内に洋菓子店「おやつ工房 ハルリッカ」をオープンさせました。

看板商品は酒粕バームクーヘン。

蔵の岩崎会長自らが栽培している地元産ササニシキの米粉100%を主材料に、蔵の酒造りで発生する酒粕を使った独創性の高いお菓子です。

このほかにもクッキーやパウンドケーキ、シフォンケーキなども作りますが、それもすべて米粉で、小麦粉アレルギーの人でも安心して食べられるそうです。

蔵のウエブサイトにはお店の情報が丁寧に書かれ、美味しそうな写真がふんだんに提供されており、蔵の本気度が伺えます。

ここまでアピールできているのは蔵元社長の岩崎健弥さんの奥様の真奈さんがリーダーシップを取っているからだと思われます。

おそらく、うまくいけば、蔵の店以外にも店舗を増やしたいと考えているのではないかと推測します。

お酒もテロワールですが、お菓子もテロワールなのですから、いい狙いです。

是非、頑張って欲しいものです。

 

さて、お酒ですが、寒梅酒造の夏酒として、すっかり定着している「ミスター・サマー・タイム」です。

55%精米の純米吟醸、一回火入れです。

上立ち香は華やかな芳しい香りが適度に流れてきます。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触を軽く振りまきながら、テンポよく滑り込んできます。

 

受け止めて保持すると、自律的に半ば浮き上がるようにして膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味は上白糖系の気品のあるタイプ、旨味はシンプル無垢でプリンのような滑らかな表面が印象的で、両者は流れるように繊細な舞いを展開します。

 

流れてくる含み香はゴージャスなフルーツの香りでデコレート。

後から酸味と渋味は必要最小限現れて、薄氷の輪郭を施します。

甘旨味は芳しい含み香とともに、終盤まで情熱的にチャーミングな世界を描き切るのでした。

飲み下した後の余韻は魅惑的なムードがたっぷりでした。

極上の仕上がりでした。

 

お酒の情報(23年171銘柄目)

銘柄名「Mr Summer Time(ミスター・サマー・タイム)純米吟醸 2022BY」

酒蔵「寒梅酒造(宮城県大崎市)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=3000円」

評価「★★★★★(98点)」