自宅の晩酌に奈良県葛城市の梅乃宿酒造さんが醸しているお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。
6本目はこれです。
梅乃宿酒造が2022年夏に全く新しい蔵を新設し、組織の見直しと共に“家業”から“企業”への変身を目指し、蔵元社長の吉田佳代さんが奮闘している様をSAKEStreetに記事を書きました。
是非、お読みください。
ここではそこに書き切れなかったことなどをご紹介します。
梅乃宿酒造はこれまでもそうでしたが、新蔵移転を契機にさらに直販に力を入れています。
その趣旨について吉田佳代社長は次のように話しています。
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多くの酒蔵と同じように、これまではうちも販売については酒販店経由(BtoB)に大きく依存してきました。
売り上げの8割がこのルートです。
でも、地酒専門店が欲しがるのは、人気の割に供給が追いつかない希少銘柄です。
うちは必要なだけ供給できるので希少ではなく、けれど酒販店さんはガンガン売ってくれない。
だから、もっと直販(BtoC)に力を入れることにしました。
2021年から本格的に始めており、新蔵移転に合わせてECサイトも大幅に増強しました。
新蔵には広々とした直売所を設け、広い駐車場も用意して、どんどん観光バスを呼び込みたい。
幸いにして、ここは関空から車で1時間と交通至便。輸出先で梅乃宿のお酒を飲んだ外国人の方々にも来てもらい、さらに梅乃宿を好きになってもらえたらと考えています。
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さて、最後の6本目です。
梅乃宿のUnシリーズは昔からある「梅乃宿」のラベルから来る古くさい印象を払拭するためにリリースされ、現在はこちらがメインの商品群になっています。
裏ラベルでは、それぞれのネーミングについて、梅乃宿日本酒辞典からの出典という格好で説明していますので、そのままご紹介します。
アンフォールドサケ 純米大吟醸
un・fold 他動詞=【考え・意図などを】表明する、打ち明ける
自動詞=①【物語が】展開する ②【つぼみなどが】開く
「梅乃宿Unシリーズ」のフラッグシップ純米大吟醸。爽やかな香りが花開き、軽やかな甘みと上品でキレのある旨みが広がる。
▼用例=何かを表明・打ち明ける夜、又は貴方の物語が展開する節目に
▼用法=冷酒
50%精米の純米大吟醸、火入れ酒です。
上立ち香はほっそりとした薄甘い香りが仄かに。
玩味すると中程度の大きさの均整の取れた旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、ツルツルの感触をアピールしながら、まっしぐらに滑り込んできます。
受け止めて保持すると、自律的にテンポよく膨らみ、拡散しながら適度なクリスタル様の粒々を速射してきます。
粒から滲出してくるのは甘味8割、旨味2割。
甘味は高純度で透明感の優れたタイプ、旨味もシンプル無垢で滑らかな印象で、両者は流麗なハーモニーを奏でながら、ナチュラルな舞いを披露します。
流れてくる含み香は、カプロン酸エチルの芳しい香りが遠慮がちに薄化粧を付与。
後から酸味と渋味はわずかに現れて、効果的なアクセントを施し、甘旨味は終盤まで長閑で優しい世界を描くのでした。
梅乃宿酒造のお酒、以前に比べて洗練された印象でした。今後の動向もウォッチします。
お酒の情報(23年46銘柄目)
銘柄名「梅乃宿(うめのやど)アンフォールドサケ 純米大吟醸 2022BY」
酒蔵「梅乃宿酒造(奈良県葛城市)」
分類「純米大吟醸酒」
原料米「不明」
使用酵母「不明」
精米歩合「50%」
アルコール度数「16度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「1800ml=3300円」
評価「★★★★★(98点)」