自宅の晩酌に、広島県呉市の相原酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べることにしました。
ラストの6本目はこれです。
「雨後の月(うごのつき)純米大吟醸 白鶴錦」。
最後に相原酒造の出品酒を出すまでの流れをご紹介します。
まずは麹米ですが、これは間違いなく優れた麹が出来るように、山田錦の35%精米です。
そのうえで、5本前後の仕込みをしていますが、掛米については千本錦と山田錦が半々。
さらに酵母については、協会1801号と協会901号のブレンドとしています。
金賞を取る蔵の多くが協会1801号の単独ですが、蔵元の相原準一郎さんは、
「カプロン酸エチルの生成が多すぎると、えぐみや苦味が出るし、時間の経過とともに、ダレやすい。そこで、酒母造りの際にはまず1801号を投入し、12時間遅れて901号を投入しています。山形の多くの蔵と同じやり方です」
と話しています。
このように仕込んで、最後にどれを選んで出品するかは、前日も書いたように、親しくしている近隣の蔵にも出品候補酒を持参のうえ、集まってもらい、お互いの感想を言い合いながら、決めているのだそうです。
最終的に誰が決めているのかは、堀本敦志杜氏は「蔵元です」と話していますが、20年以上も二人三脚でやってきたお二人ですから、意見が食い違うことはないのかと思います。
さて、最後の6本目は灘の白鶴が地元農家と組んで新たに開発した白鶴錦を使った48%精米の純米大吟醸です。
全量と念押ししているので、麹米も白鶴錦となります。
上立ち香は上質な和三盆糖の甘い香りが柔らかく。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、よく磨き込んで鏡面のようになった表面に薄らと油を敷いて、摩擦ゼロの感触で忍び入ってきます。
受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのクリスタル様の粒々を速射してきます。
粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。
甘味は99.9%純度の高貴なタイプ、旨味はシンプルで湿潤溢れる印象で、両者は手を取り合って、流れるような羽衣の舞いを披露します。
流れてくる含み香も純粋なグルコースの甘い香りでデコレート。
後からほんのわずかな渋味が現れて、味わいのアクセントをこっそりと付けるのです。
甘旨味は終盤までシルキータッチの世界を描き、飲み下した後の余韻も涼やかなものでした。
まさに出品酒かと思う仕上がりでした。
今年の鑑評会(令和3酒造年度)の結果発表は明日25日です。
相原酒造は果たして11回連続に記録を伸ばすことができるでしょうか。
ドキドキです。
お酒の情報(22年137銘柄目)
銘柄名「雨後の月(うごのつき)純米大吟醸 白鶴錦 2021BY」
酒蔵「相原酒造(広島県呉市)」
分類「純米大吟醸酒」
原料米「白鶴錦」
使用酵母「不明」
精米歩合「48%」
アルコール度数「16度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「1800ml=3960円」
評価「★★★★★(98点)」