新潟「TAKARAYAMA コシヒカリ」たまり醤油のような甘旨味が面妖な香りと幻惑の世界を描く | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

新潟市の宝山酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べることにしました。

3本目はこれです。

 

 

TAKARAYAMA(たからやま)米袋ラベル コシヒカリ 純米生原酒」。

 

さて、蔵元後継者の渡辺桂太さんが蔵に2015年の夏に帰蔵し、2016BYから桂太さんが杜氏になるべく、動き出したタイミングで渡辺さんのところに、とっても魅力的な話が舞い込んできました。

 

「青二才が造る酒」と開き直ったような趣旨で命名した「二才の醸」というお酒を、ヒットさせた埼玉県の石井酒造が、蔵元も杜氏も30歳になってしまい、「もはや青二才ではない」という理由から、20代だけで酒造りに挑む蔵を探していたのです。

 

そして、石井酒造の杜氏が東京農大の後輩の中から、渡辺桂太さんと若松秀徳さんを選んで声を掛けてきたのです。

 

 

お二人はこの話に飛びつき、まさに桂太さんたち若手だけで挑む一年目の酒に、「二代目、二才の醸」を使うことができたのです。

 

話題作りの上手な石井酒造の蔵元のおかげで伝承式が行われて、多くの若い日本酒好きが参加して、メディアの話題に。

 

そして、2造り後の2018年秋には3代目へバトンを渡す伝承式も注目されるなど、若い日本酒好きの間で宝山酒造の名前が売れたのです。

これは非常に追い風になり、渡辺さんは「ほんとにやってよかったと思っています」と話しています。

 

 

さて、3本目は、新銘柄のTAKARAYAMAの中でも、食用米に限定した純米酒を造ることにして誕生させたものです。

 

ラベルに米袋を描いて、より、「食べる米で造った酒」をアピールしています。

精米歩合などは非公開の純米、生原酒です。いただきます。

 

 

上立ち香は生酒のややダレた甘い香りがほんのりと。

玩味すると、中程度の大きさの旨味の塊が、表面に分厚くとろみ層を乗せて、表面を波立たせながら、鷹揚な態度で忍び入ってきます。

 

受け止めて保持すると、ややだるそうな気配を漂わせながら、重々しく膨らみ、拡散して、やや大振りでウエットな粒々を次々と射掛けてきます。

粒から現出してくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味はたまり醤油のようなとろっと濃いタイプ、旨味も複数のコクが重層化しており、両者はヘビー級の重厚な舞いを展開します。

 

流れてくる含み香は面妖で個性的な香りに甘ダレの香りが混じって、濃厚にデコレート。

後から渋味が少量来るものの、甘旨味の太さと濃厚さに圧倒され、味わい全体は徐々に動きが鈍くなり、最後に飲み下した後も、気持ち粘っこい余韻が舌の奥に残るのでした。

 

 

二日目、三日目とさらにダレが目立ちました。

それでは、宝山酒造のお酒、最後の4本目に参ります。

 

お酒の情報(20年194銘柄目)

銘柄名「TAKARAYAMA(たからやま)米袋ラベル コシヒカリ 純米生原酒 2019BY」

酒蔵「宝山酒造(新潟市)」

分類「純米酒」

原料米「コシヒカリ」

使用酵母「不明」

精米歩合「不明」

アルコール度数「17度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税抜)「1800ml=2700円」

評価「★★★★(4.0点)」