信州上田5蔵の山恵錦競演④「明峰喜久盛 純米」存在感の薄い甘旨味を麗しい含み香が健気に励ます | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

長野県上田市にある酒蔵5軒が、長野県の新しい酒米「山恵錦」を使って美酒造りを競い合う企画を今年も実施しましたので、5本をまとめて取り寄せて飲み比べることにしました。

4本目はこれです。

 

 

明峰喜久盛(めいほう・きくざかり)純米」。

信州銘醸さんが醸しているお酒です。

信州銘醸は蔵元の滝澤恭次さんのお話です

 

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他の4蔵は55%精米の純米吟醸で造りに挑んでいますが、私どもの蔵は余り磨かず、70%精米の純米で違いを出しました。

山恵錦の旨味をよりうまく表現できたらと考えました。

 

出来上がった酒について工藤(有通)杜氏は、思ったよりも香りが出て、順調な発酵過程だったとして90点の自己採点をしています。

対する私は、飲み手の感想が心配でなりませんが、個人的にはいい感じに仕上がっているかと思いますので、評点は80点ですね。

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70%精米の純米ですから、他の4蔵よりもぐっと安い価格も特徴です。いただきます。

 

 

上立ち香は酒エキスの香りが適度に。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に産毛を薄らと乗せて、穏やかな態度で静々と忍び入ってきます。

 

受け止めて舌の上で転がすと、促されるままに膨らみ、拡散しながら、適度な大きさの弾力性のある粒々を次々と射掛けてきます。

粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系のとろりとしたタイプ、旨味は複数のコクが重なり合った印象で、両者は共に遠慮がちに譲り合いながらのっそりとした踊りを披露します。

 

そこに流れてくる含み香はマスカットの麗らかな香りがたっぷりと現れ、この香りが存在感の薄くなりがちな甘旨味の舞いを適度に囃して彩るのです。

後から渋味が適量現れて、味わい全体にしっかりとした輪郭を付与し、そのまま、終盤まで穏やかな世界が続くのでした。

 

 

私は工藤杜氏の感想に首肯します。

それでは、上田5蔵競演の最後の5本目をいただくことにします。

 

*一升2500円以下の純米旨酒に登録します。

 

お酒の情報(20年136銘柄目)

銘柄名「明峰喜久盛(めいほう・きくざかり)純米  2019BY」

酒蔵「信州銘醸(長野県上田市)」

分類「純米酒」

原料米「上田産山恵錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「70%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「×」

標準小売価格(税抜)「1800ml=2300円」

評価「★★★★★(4.3点)」