長崎「白嶽 純米大吟醸」芳醇高貴な甘旨味が可憐に舞い、最後は適度に引き締まる | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

長崎県対馬の海産物を提供する都内の居酒屋にお邪魔しました。

日本酒も対馬唯一の酒蔵のお酒が揃っていたので、いただくことにしました。これです。

 

 

「白嶽(しらたけ)純米大吟醸」。

長崎県対馬市の河内酒造さんが醸しているお酒です。

河内酒造は1919年創業で、現在の蔵元、伊藤浩一郎さんが三代目になります。

 

対馬唯一の酒蔵として日本酒と焼酎を造って来ました。

島内の酒類市場では高いシェアを誇ってきましたが、大手の格安品の攻勢で普通酒や本醸造酒の売り上げは厳しい状態が続いています。

 

そこで、杜氏でもある伊藤浩一郎さんは付加活の高い商品に力を入れるとともに、全国新酒鑑評会にも積極的に出品してきました。

金賞を取るには醸造アルコールを添加した大吟醸の方が優位と言われるなかで、敢えて添加をしない純米大吟醸に挑戦し、29BYでは晴れて金賞を獲得することに成功したのです。

 

 

今夜、いただくのはそんな金賞を獲得した仕込みのお酒です。

福岡産山田錦38%精米です。

 

ちなみに、銘柄の白嶽は蔵の西方に聳える標高518メートルの白嶽から取っています。いただきます。

 

 

上立ち香はスリムで華奢な芳しい香りがほんのりと。

口に含むと、中程度の大きさの旨味の塊が、表面をよく磨きこんでピカピカに輝かせながら、優雅に踊りこんできます。

 

受け止めて舌の上で転がすと、促されるままに素直に膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのクリスタル様の粒粒を速射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味は純度99.9%の透明感に優れた印象、旨味はシンプルで、優雅に舞い始める甘味に寄り添うのです。

 

流れてくる含み香はカプロン酸エチルの芳醇な香りで美しくデコレート。

後から酸味や渋味は現れず、甘旨味の流れるような舞いが続き、終盤になると若干の辛さが出てきて、全体を一気に取り纏めて、喉の奥へと吸い込まれていきました。

 

 

それでは河内酒造のお酒、もう1本、いただくことにします。

 

お酒の情報(19年213銘柄目)

銘柄名「白嶽(しらたけ)純米大吟醸 2018BY」

酒蔵「河内酒造(長崎県対馬市)」

分類「純米大吟醸酒」

原料米「山田錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「38%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「-15」

酸度「1.4」

情報公開度(瓶表示)「○」

標準小売価格(税抜)「720ml=4400円」

評価「★★★★(4.3点)」