青森「おしまこ美人 純米」旨味が甘味を追放して、渋味と一緒にモノトーンの世界を摩擦を起こしながら | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

酔い人「空太郎」の日本酒探検

意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

 仕事で親しくしている友人が「青森県出身の私がご愛顧している居酒屋に行きましょう」と誘われたのでお付き合いすることになり、神田小川町の「ご当地酒場 青森県むつ下北半島」という居酒屋にお邪魔しました。
 何ともベタな名前ですが、その名の通り、下北半島から直接仕入れた食材で、青森県人が愛するいろいろなレシピの料理を提供しているお店でした。
 レジの横にはそうした物産の販売コーナーもあって、アンテナショップみたいです。
 そして、日本酒の品ぞろえももちろん、青森県限定です。
 そんな中からいろいろいただきましたが、空太郎も初、という銘柄があったのでご紹介します。
 これです。

イメージ 1

 「おしまこ美人 純米」。
 青森県むつ市の関乃井酒造さんが醸しているお酒です。
 このお酒のネーミングは「おしま」という名前の美しい娘が盆踊りの輪の中にいて、殿様が大いに喜んだという下北半島の言い伝えから来ているものですが、この銘柄を冠したお酒が登場したのは1990年代の半ばです。

イメージ 2

 関乃井酒造の蔵元さんが、「寒冷で良質の酒米を作るには困難を伴う下北半島で、酒米に適したお米が獲れた年に、その米を使って純米酒を作ろう」と考えつき、始めたのです。
 しかし、酒造りに合格する米はなかなかできず、数年に一度、登場するのみの“幻のお酒”なのだそうです。
 お店の人も「いつ来店してもあるというお酒ではありません。お客さんたちはラッキーですよ」と言われました。
 地元産まっしぐら60%精米の純米酒火入れです。
 いただきます。

イメージ 3

 香りはほとんど感じず。
 玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、よく踏み固められて硬くなった表面に微粒子を敷き詰めてザラザラな感触をアピールしながら転がり込んできます。
 受け止めて舌の上で転がすと一瞬佇み、それから億劫そうにしながら少しずつ膨らみ、徐々に仁丹様の小さな粒粒を放ってきます。
 粒からジワリと出てくるのは甘味4割、旨味6割。
 甘味はか細くて弱々しく、背後から続く角張った旨味が背後から突き飛ばすと、一瞬で消失。
 旨味の朴訥な踊りが展開されるのです。
 含み香もほとんど僅少。
 そして、結構な量の渋味が現れ、旨味を一気に縛りつけてしまうのです。
 味わいはさらにモノトーンとなり、最後に辛さも少々加わって、ハイスピードで縮退して、喉の奥へと消えていきました。

イメージ 4

 北国の冬を連想させるようなお酒でした。

★お酒の情報(15年23銘柄目)
銘柄名「おしまこ美人 純米 25BY」
酒蔵「関乃井酒造(青森県むつ市)」
分類「純米酒」
原料米「まっしぐら」
使用酵母「不明」
精米歩合「60%」
アルコール度数「15~16度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度「×」
標準小売価格(税抜)「1800ml=不明」
評価「★★★★(4.0点)」