皆さま

 

皆さまにとって、神社とはどのような存在でしょうか?  

神様に手を合わせ、日々の感謝を伝える場でしょうか。それとも、美しい景観を楽しみながら、歴史や文化を感じる観光スポットでしょうか。  

近年、神社のあり方は大きく変わりつつあります。  

参拝者の減少、宮司の後継者不足、そして経済的な困難――こうした現実の中で、多くの神社が「信仰の場」であると同時に、「経済活動を維持する場所」としての側面を持ち始めています。  

この変化は、果たして「信仰の本質」を損なうものなのでしょうか?  

神社が収益を得ることは「信仰の本質」を損なうのか?

かつて、神社は地域の人々の支えによって成り立っていました。  

お賽銭やお供え物、地域住民の奉仕活動によって維持される「共同体の祈りの場」だったのです。  

しかし、過疎化やライフスタイルの変化によって、そうした支えが難しくなった神社は少なくありません。  

現在、日本全国の神社は約8万社あるといわれていますが、宮司の数は約1万1000人しかいません。

 

つまり、一人の宮司が複数の神社を管理することも珍しくなく、年収300万円未満の宮司が6割以上という厳しい実態があります。

 

地方では、この傾向はもっとハッキリ出ています。  

 

 

 


こうした中で、一部の神社は生き残るために、経済活動を積極的に取り入れています。  

 

  • お守りやお札の販売を拡大し、授与品のデザインやブランド化を進める  
  • ご祈祷料を適正価格に見直し、参拝者に「価値ある儀式」として提供する  
  • SNSやデジタル技術を活用し、新たな収益源を確保する  


これらの取り組みは、「神社経営の現実」に適応するための手段であり、単なる商業主義とは異なります。  

しかし、それでも「お金を集めること」が目的化してしまうと、信仰の場としての純粋性が失われる危険性があります。  

では、どうすれば「信仰の場」としての神聖さを保ちつつ、経済的な持続性を確保できるのでしょうか?  



「インバウンドの恩恵」と「信仰」は両立できるのか?  

近年、訪日観光客が急増し、多くの神社が観光スポットとして注目を集めています。  

例えば、京都の伏見稲荷大社は、外国人観光客に最も人気のある神社の一つです。  

その鳥居の美しさ、神秘的な雰囲気、文化的な価値が評価され、連日多くの観光客が訪れています。  

 


平日にもかかわらず人でごった返す伏見稲荷大社(筆者撮影)

 


千本鳥居からも人があふれ出ている様子(筆者撮影)


しかし、その一方で、「観光客が増えすぎたことで、神聖な空気が薄れた」という声も聞かれます。  

 

  • 手水舎での作法を守らない  
  • 境内で大声で話し、写真を撮ることが目的化する  
  • 本来の参拝の意味を知らないまま「映えスポット」として利用される  


これが神社にとって「良いこと」なのか、「悪いこと」なのかは、一概には言えません。  

観光客が増え、収益が向上すれば、神社の維持・修繕に充てることができます。  

しかし、その結果、神社が単なる「歴史的建造物」「観光スポット」として消費されるなら、信仰の場としての本質は損なわれてしまいます。  

では、神社は観光地化を完全に拒むべきなのでしょうか?  

答えは「いいえ」です。  

大切なのは、「信仰の場であること」を参拝者に伝え続けることです。  

 

  • 参拝の作法を明確に伝える(例:伊勢神宮のように厳格なルールを設ける)  
  • 神事や祭礼の意味を発信し、単なるイベント化を防ぐ  
  • 境内の静けさや神聖さを保つための工夫を行う  


こうした取り組みを通じて、神社が「観光地」としての側面を持ちつつも、本来の「信仰の場」としての本質を守ることができるのではないでしょうか。  



神社は「信仰の場」としてあり続けるべきか?  

ここまでの議論を踏まえて、改めて皆さんに問いかけたいと思います。  

 

  • あなたにとって、神社とは何でしょうか?  
  • 神社が収益を得ることは、信仰の本質を損なうのでしょうか?  
  • インバウンドの恩恵と、信仰の場としての純粋性は両立できるのでしょうか?  


神社は「経営」を考えなければ生き残れませんが、それによって「信仰の場」としての本質を失うべきではありません。  

私たちが神社を訪れる際、そこで何を感じ、何を願うのか――その意識こそが、これからの神社のあり方を決めていくのではないでしょうか。

(了)

 

文責:はたの びゃっこ

 

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