皆さま

 

このシリーズも結構長くやっていまして、おかげさまで人気を博すようになっています。

 

私たちが扱っている情報は文献や史料に載っていない内容が多く、裏付けと言われましても公的な文書がないので(口伝の断片ばかり)、なるべく「関係筋」から得られた情報をまとめ直しながら説明したいと思います。

 

今回は、陰陽方術に関するお話をします。よろしくお付き合いくださいませ。

 

 

陰陽五行思想

 

公式には、陰陽道が日本に伝来したのは513年で、朝鮮半島の百済から五経博士という学者が渡来し、易経として陰陽五行説が伝わったとされています。この陰陽五行説は、陰陽思想と五行思想を基盤としています。

1.陰陽思想…陰陽説を唱えた人物は、春秋戦国時代の鄒衍(すうえん)で、彼は陰陽家の一人


この思想では、世界の万物は「陰」と「陽」の二つの「気」から構成されると考えられていました。さらに、五行思想と結びついて、陰陽説が展開されました。
 

2.五行思想…五行思想は、「気」を「木」・「火」・「土」・「金」・「水」の五つに分類し、物事の変化を説明する理論


五行は互いに生み出し合い、あるいは打ち消し合う性質を持つと考えられていました。

 

陰気と陽気は相互依存の関係であり、陰がなければ陽はなく、陽がなければ陰はない、そして陰が陽を生み、陽が陰を生むことを示すと考えます。

 

光があるから影も存在するという考え方です。

 

陰と陽は道徳的な善悪とは独立した概念にあることに注意してください。陰=悪、陽=善という単純な図式にはなりません。

 

それぞれが多すぎても、少なすぎてもバランスが乱れてきて、これを取り戻そうとする気の働きが生じ全体としての調和が保たれるという自然の法則です。

 

日本では、陰陽道は道教の方術や神道、密教の影響を受けながら独自の発展を遂げ、呪術や占術の色合いが強くなりました。

 

中国の場合は、天文学や暦学の方に重点が置かれたわけで日本とは大きく異なります。

 

このように、陰陽道とは日本固有のものであり、中国には存在していなかったものです。

 

陰陽道が陰陽説・五行説など中国の思想を元にしているのは確かですが、それ以外にも数多くの思想が混ざり合うことによって成立しています。

 

陰陽道そのものは日本独自のもので、10世紀ころに確立されたものと見なした方が正確です。思想哲学、宗教としての道教とは別物になっていき、陰陽道はその技術的、実践的な側面を重視する方術の体系になりました。

 

ただ、技術だけに焦点を当てたり、術だけを追求しても得るものは少ないです。

 

方法論自体は善にも悪にも使えます。それを使う者の倫理観が重要であり、術に溺れる者は闇堕ちするだけです。やっていいこととイケないことの分別をわきまえるためには、思想・哲学、そしてタブーも学んでおく必要があります。

 

 

陰陽方術の例

 

私たちの持っている独自の情報によれば、陰陽思想や五行説が日本に伝わったのは、紀元前3世紀の話になります。公式よりもはるかに古い伝来です。

 

徐福集団が出雲の地に移住してきて、出雲族に基本的な知識を教えました。

 

また、ほぼ同時期に北部九州に移住してきた秦族によっても伝えられています。神仙思想も同時期に伝わっています。

 

移住者の中には方士たちもいました。中国古代の祭祀、祈祷、卜占、呪術、占星術、不老長生術、煉丹術、医術などの神仙方術が伝えられています。

 

この辺の話は、リアル・キングダム関係の記事をご参照ください。

 

秦の始皇帝が追求した不老不死の妙薬などは存在しませんが、薬学とも関係があって、陰陽師は薬草に関する実用的な知識や漢方の知識も持っていました。

 

基本的に中国からの渡来人が持ち込んだものなので、中国の仙人とのつながりもあります。ただし、仙人の使う方術は密教に関することなので文献にはなっていません。よって、いくら文献を漁っても何ら益する情報は得られません。

 

陰陽師は、五行を操作するための技法をテストされ、選ばれます。

 

たとえば「火」を操作する場合、手のひらに火種を置かれても熱いと感じない状態で、やけど一つしない状態になることです。このように身体で覚えるものが実践的な陰陽道であり、そのルーツは古代中国からもたらされた道教の密教だと言うことです。

 

木、火、土、金、水の5つの要素を自由自在に操作することができるようになって陰陽師として一人前と見なされます。

 

平安時代の鎮護国家的な祭祀とは違って、古代から行われてきた陰陽方術とは、氏神や一族の「神祭り」、病気治しの「病人祈祷」、弓を引いて神憑りし託宣をする「祈祷」、山の神や水神をなだめ、自然災害を防ぐ「鎮め」の4つに大別されます。

 

自然災害を防ぐと書きましたが、日本のように自然災害の多発するところでは、古くから雨乞いの儀式など天候調節にかかわるシャーマンがいました。

 

危険を察知して事前に避難誘導を命じるのも役割でした。自然の動きに非常に敏感で、観天望気や動物たちの行動観察も行っていました。

 

自然と向き合い、自然の気を利用する方法論がそこにはあります。

 

さて、陰陽道は陰と陽の二気を想定しますが、冲気=中和の気という概念もあります。

 

老子の「道徳経」に、

 

「道は一を生じ、一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生じる。万物陰を負いて陽を抱き、沖気を以って和を為す」

 

とあります。

 

要は、一が陽の気、二が陰の気、三が冲の気を示していて、三により万物が生成されると説明しています。

 

陰陽の考えが有名なので、この冲気については見過ごされがちですが森羅万象の大元は、この冲気にあります。

 

仏教では「中道」、儒教では「中庸」と言われますが、道教で言う「冲」の気にほぼ対応するものと思われます。

 

分かりやすいのが、太極図にあるように、陽を極めたところに現れる陰、陰を極めたところに現れる陽、この変化を司るのが冲気となります。

 

 

 

変化の節目に関わる「気」のことです。

 

たとえば、暦で言う四季の前にある18日間を土用といいますが、この土の気が冲の気であり、陰陽の気の変化の間(季節の変わり目)に顕れている訳です。

 

立秋の前の土用は、7月下旬から8月初めに当たりますが、これを「暑中」と呼び、「暑中見舞い」を書いて送るのが習慣になっています。基本的に日本の伝統的な祭は、この土用の時期に配置されていて、農作業などで土を掘り起こしたりして、土気を侵したりしないということが由来のようです。

 

このように、中国の思想体系がベースにはなってますけれど、これを日本の風土になじむように変えていったものが陰陽道の方術です。

 

 

陰陽師になる条件

 

これはよく尋ねられることなので、ここでハッキリと申し上げておくことにします。

 

陰陽師になる条件はDNAオンリーです。

 

聞くところによれば、陰陽師の弟子入りを希望する人が後を絶たないといいます。ですが、これは自分がなろうと思ってなれる<職業>ではありません。

 

<就活>するだけ無駄というものです。職業じゃありませんから。

 

根本的に発想が間違っています。

 

弟子入りして、修行して、じゃあそろそろ「免許皆伝」という世界ではないのです。非常に細かい条件がそこにはあるのです。

 

宗家は神道系の宗教法人として存在しますが、実際には裏本家というものがあります。

 

裏本家の場合、一般の志願者は門前払いされるだけです。

 

話せる範囲で記しておきます。

 

陰陽師になるために必須不可欠な条件とは、一にも二にも血筋、血統オンリーです。

 

その出自を証明できる血族のみが選抜の対象になります。先祖の家系を正確にたどることができるかどうか、これが最初の一歩になります。

 

次に、その家系が「憑きもの筋」であること。これは地域によって憑き物の分布が違うので、四国の場合で言うと犬神筋がそれに該当します。

 

憑き物信仰に関する民俗学的な研究の多くは、当事者の正体を正確に把握していません。

 

「憑きもの筋」というのは、一昔前まで社会的差別の対象だったからです。正体など明かそうものなら、徹底的に忌み嫌われ、攻撃される対象でもありました。

 

だから、その出自を隠し通し、全国に散らばり、その家に伝わる話など口外するものではなかったのです。

 

ただの妖怪話ではありません。

 

精神医学的症状だけに焦点づけた一面的な解釈も、私たちから見れば視野狭窄としか言いようがありません。これについては、別記事で批判的に考察を加える予定です。

 

人間の意識の変容と、その拡張プロセスに関する霊的な智慧を理解できない者に、陰陽師を語る資格などありません。

 

まことしやかに作話し、合理化された研究書を読むと、適当なことを書いているなという感想しか出てきません。

 

当事者にしか分からない「隠された知識体系」オカルトが、そこには存在するのに、それをズバリしている書は世間には存在しません。

 

オカルトを馬鹿にしてはいけないのです。

 

それも当然のことです。文書化することが一族の掟で禁止されているので、隠された事実、知識体系はすべて口承です。メモすることも禁止されています。

 

犬神(狗神)を守護神として祀る家の実態など、闇のまた闇の中の「物語」です。決して公にできる話などありません。

 

これだけ断定的に述べているのは、「関係筋」とのコネクションがあるからです。

 

誰もが知っているような神社や寺院に、彼らはいます。私たちが懇意にしていることで、断片的ながらも、公式には存在しない裏陰陽師の情報が入ってきます。

 

たとえば、徳島県は狗神信仰の本場の1つです。もっとエリアを拡げるならば、陰陽師と重なる憑きもの筋の分布する地域は西日本全域を含みます。

 

噂を聞きつけて、門を叩く人々たちに謹んで申し上げます。なりたくてもなれないのが、裏陰陽師の世界です。

 

およそ2000年前から日本に入り込んできた人々の血脈=DNAを引き継いでいる子孫と、または「血の契り」を交わした配偶者にしか門は開かれていません。

 

その中でも、幾多の試練と選抜に耐え抜いた一握りの人だけが陰陽道の継承者であると正式に認定されます。

 

本当に弟子入りしたいなら、認定された彼らと「血の契り」を結ぶことのできるだけの資質・能力を磨き、頑なに掟を守り、一族の名誉を穢さない行いを生涯にわたって継続する覚悟が求められます。

 

それを誓い、実行もできない者には最初から願いも叶わない世界です。

 

裏陰陽道は八家に分かれているようです。派閥があります。安倍氏、賀茂氏はよく知られていますけれど、その他に六つの家系があります。

 

 

いわゆる五芒星は陰陽道に関係のあるシンボルとしてよく使われていますし、目にすることも多いと思います。

 

ですが、これも表向きのシンボルです。五星と呼んでいます。他にも六星、八星などがあります。十二星、二十八星もあります。

 

陰陽道に関わっている家系の時代を遡っていくと、中国からの渡来人が関係しています。古くは秦の時代。

 

たとえば、秦王朝の国姓は嬴(えい)になります。

 

中国では、古代において姓は「部族」の名前、氏は同じ部族の中の「氏族」を指す語でした。

 

また、中国における姓は母系制に起源があり、同一の姓は同一の母系的血縁集団であることを示しています。なので、父系だけを辿ってもよく分からなくなってきます。

 

安倍晴明にしても父系を辿っても正体が分からないのは、中国からの渡来人だった母の存在が大きかったからです。

 

大事なことをもう一つだけつけ加えておきます。陰陽師は男性だけだと思っていませんか?

 

性別には関係ありません。女性の陰陽師もいます。これも大事なポイント。女性にしか扱えない呪物、呪具もあります。

 

ということで、性別に関する先入観も取り除いてみれば、ずいぶんと視野も広がります。

 

今回はここまでにします。また関係筋から情報がもたらされたら続編を書きます。

 

(不定期に続く)

 

 

 

 

 

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