穴があったら入ります。 | 日々是好日

日々是好日

「命尽きるまでの5年間が幸せならばその人生は成功である」
と信じて僕ぁ、残り人生を悔いなく大切に生きていきたいのである。
Yukihiro kodera is a chronic pancreatitis

数日前の出来事です。

 

(以降、日本昔話調で読んでいただくとよろしいかと)

 

その日は冬には珍しく春めいた日中でございましたが

 

夕刻には路面を覆っていた雪がシャーベット状となり

 

行き交う車が跳ね上げて歩行者を襲うまことに

 

歩きにくい道路状態でございました。
 

吾作は歯医者に行きましたとさ。

 

(吾作とはわしのことでございます。なんせ昔話と言うと

わしの中では主人公は伍作と相場が決まっておりますので)

 

半年に1回のメンテナンスは当日の最終予約でありました。

 

帰りがけに事件は起きたのでございます。

 

「わしの靴が無い!」

 

履いてきたスニーカー見当たらないのでありました。

 

吾作の頓狂な声に窓口から覗き込む受付嬢。

 

「お姉さん、わしの靴、間違えて履かれていってしもうた」

 

受付嬢 「あらま、大変」

 

「人の靴を履いて行くとはなんとそそっかしい人がいたもんだ」

くそっ、買ったばかりじゃぞ」

 

二人のやり取りを聴いて診察室から看護師さんや

技工士さんがドヤドヤとやってまいりました。

 

なんせ吾作が最後の患者ですから、皆さんお暇。

 

「○○さんかも。吾作さんの前の人だもん」

 

「○○さんの連絡先、カルテみたら判るね」

 

「あっでも〇〇さん、女性やん。吾作さんのと間違える?」

 

「困りましたね、呉作さん、」

 

皆さん、吾作を囲んでわいわいがやがや。

 

中の一人が言いました。

 

「とりあえず、そこの長靴でも履いていかれたら。間違えた人が

そのうち連絡してきますよ」

 

その瞬間、吾作はハッと気が付いたのでございます。

 

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出がけに嫁が言ったのです。

 

「足元悪いから長靴履いて行ったほうが良いよ」

 

ああああああっ

 

そうです。吾作は長靴に履き替えていたのです。

 

自分が最初スニーカーを履いたのでそこだけが記憶に残り・・・

 

いまさら勘違いしてたとはまことに言い出しにくい。

 

(ううう、この事態をどう切り抜けたらいいんじゃ???)

 

おもむろに咳ばらいをひとつして、

 

「仕方ない、とりあえずこの長靴履いて行くことにする。

で、間違えた人から連絡あったら知らせて」

 

医院を出て脱兎のごとく逃げ帰る吾作でありました。

 

ぼうや~良い子だねんねしなぁ~♪

 

ちゃんちゃん♪