会計待ちの際、レジの前に陳列されているちょっとした商品に、つい手が伸びたことはありませんか?
たとえば、ガム・チョコ・ラムネ、ミント系の「タブレット」。買うつもりはなかったのに、レジの順番を待ちながら、なんとなく手に取ってしまった…。そんな経験は誰しも一度はあるはずです。
実はあの「レジ前の商品」、戦略的に置かれている“売上に直結する売り場(マグネット)”なのです。私も現役時代、「目立たないのに売り上げ貢献度が高い売場」として何度も助けられました。
☝️「ついで買い」だけじゃない。レジ前の意外な役割
スーパーにはさまざまな「売場」がありますが、その中でもレジ前は“特殊な場所”です。
なぜなら、お客さんが商品を見ながら立ち止まる“唯一の“場所だからです。
通常、お客さんは売場を歩きながら商品を見て回ります。しかし、限られた買い物時間の中で目にする商品数は意外に限られています。しかしレジ前では数分間、立ち止まって順番を待つ。その間に目に入るのが、チョコレートやガムなどの小さな商品たち。
これらは「衝動買い」されやすく、単価も低く100〜200円程度。まさに「カゴに入れやすい商品」なんです。私が社長だった頃は、「レジ前に並べる商品だけで、1日数千円の上乗せになる」ため、「全部レジ前に持ってきて売れ!」と指示したほどです(笑)
また、これらの商品は“季節を問わず売れる“という特徴もあります。真夏でも真冬でも、お客さんは“レジ前のチョコ”を買っていくのです。
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👤レジ前の商品は、
①ガムやタブレットのついで買いを誘い
②一緒に来た子供たちを誘惑して親にねだらせ
③単価の高い商品(タバコ・電池・ガジェット類)の万引き防止に
さまざまな役割があったのです。
☝️しかし、今そのスーパーにとって「おいしい売場」が消えつつあります。
理由は“セルフレジの普及“です。
セルフレジには、従来の「レジ前の並び」が存在しません。
つまり、お客さんが「つい手を伸ばす場所」が物理的に消えてしまいました。
近所のスーパーでは、セルフレジ近くに『ついで買いコーナー』新設していましたが、いかにも風情がありません。正直あまり機能しているようには見えませんでした。
スーパー経営において、「目立たないけど確実に売れる売場」はとても貴重です。
セルフレジの時代にあっても、この「レジ前売場」に代わる何かを工夫することが求められているのかもしれません。
【小林久ホームページ】