【急げ、塩がなくなるぞ~!】 | 【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

老舗スーパー三代目→先代の赤字1.5億円を2年で黒字化→地域土着経営で中小企業の星に→中小企業診断士試験に出題→最年少山梨県教育委員長→早過ぎたSDGs →2017年まさかの倒産→応援団がクラファンで3,000万円支援→破産処理後は全国の経営者に寄り添う日々

 

 


お隣の国で、日本から良くない水が海に放出されると、海水が汚れて塩が取れなくなる!とのうわさが流れ、スーパーで買占め騒ぎが起こっているというニュース。

「おたくの排水の方が汚れてますよ!」とか、「お魚買ってくれなくても、その分こちらで食べますから大丈夫!」という話は一旦置いといて、スーパーのせがれである私は「あれ~?こんな光景見たことあるぞ…」と思いを巡らす。

今から50年前(古い話でゴメンナサイ)、中東の石油が値上がりしたことを背景に、「トイレットペーパーや砂糖が無くなる!」というデマが流れ、日本中のスーパーから商品が消えた出来事【オイルショック】があった。

毎日、納品されるか分からないその商品を買うために、お客さんが朝から店先に列をなす異様な光景。子供心に「大変なことが起きてる…」と怖くなったのを覚えている。

それから少しした頃、わがスーパーの倉庫をのぞいてみた。
なんとそこには積み切れんばかりのトイレットペーパーと砂糖の山々(笑)。

子供の私「おじいちゃん(当時の社長)、砂糖も紙もこんなにあるじゃん!それなのになぜお客さんに売ってあげないの?」

爺「お客は『物が無い!』と聞けばこうやって並んでも欲しがるもんだ。欲しがってるんだからいくらで売っても構わない。だから今は全部2倍の値段でも売って儲けるんだよ」

👤私はそれもどうかと思ったが、お客さんが狂ったように買い求める姿を見て「そんなもんか…」と納得していた。

さてその「オイルショック」間もなくデマだと分かり、砂糖も紙もまったく売れなくなった。ウチの倉庫には余った在庫の山となり、砂糖も紙もネズミにいたずらされ、商品も廃棄する有り様だった。

それから半世紀、日本のお客さんは(中にはまだ居るけど)、しっかり情報を見極めてから、商品を購入するようになった。スーパーの売場で客同士がケンカしながら塩を取り合うようなニュースは無い。きっとすぐ気づくと思うが、お隣の国の皆さんには、塩分の取り過ぎに注意して欲しい。