スーパーを経営していた私は、毎年夏休みの時期になると、子供の万引きが増えて大変だったことを思い出す。友達と連れ立って買い物に行き、リーダー格の子から「度胸試し」と命令される。悪気のない一番多いケースだ。スーパー側もお見通しだから、入店したと同時に「青果部さん、売り場の手直しお願いします!」などとサインを送って見張りにつく。「捕まえることより万引きさせないこと、あの店じゃムリだと追い出すこと」これが最大限の対応である。
たまに「万引きGメン」なる番組を観ることがあるが、あの程度ならまだマシである。そもそも被害額の中からGメンのコストなど出せない。プロになると、わざと捕まって店長室に行く途中で商品を捨て「疑われた!」と騒いだ挙げ句に気を失い、救急車で病院に搬送させる。そしてそのあとしっかり落とし前(慰謝料)を取る。こんな手口で百万単位の示談金を払ったこともある💧子供に限らず万引きは立派な犯罪で、それが原因で小さい店が潰れた事例は沢山ある。
スーパーでの万引きは「総売上げの2%」と言われている。10億の売上げなら2,000万の商品(純利益)が消えるわけだ。最終利益1〜2%のスーパーにとってこれは痛過ぎる。2%の万引きの内1%がお客の万引き、残りの1%は従業員と取引先の万引き(不正)とのこと。業者と結託されたら被害も大きい。
高齢者の万引きはもっと深刻だ。食べるものがなく、やむに止まれず食べ物を盗む。でも下手なのでポッケからパンや惣菜のトレーが出ちゃってる (笑)その場で正せばちゃんと謝る。どれだけ自腹で奢ってやったことか。
子供が万引きをしても、うちでは警察を呼ばずに、誰かに引き取りに来てもらって代金を頂いてそれで不問とした。なにせ教育委員長のスーパーである💦しかし「誰に迎えに来てもらう?」と聞くと、女の子なら10人中10人が「おばあちゃん、ダメなら学校の先生」と泣きじゃくる。
母親を呼ぶ子が一人もいない…。難しい昨今の親子関係である。
レジでバーコードをピッピっと読み取るPOSシステムも、元はと言えば大昔、アメリカで読み話しの出来ない移民を安く雇用する際に、誰でも使えるように開発されたもので、各レジの足元には防犯用カメラまで設置されていた。
片やお客さんは、店の入り口で当たり前のように自分のカバンを店に預けてから買い物を始める。POSのデータをしっかり顧客管理や販促に活用したのはわが日本企業である。
無人販売や自動レジなど、性善説に基づいた日本のテクノロジーを生かすも殺すも消費者の意識次第。性善説なら防犯カメラは不要では?99.9%のお客さんは万引きなどしない。
だからと言って「レジ袋有料化のせいで万引きが増えた」とか言っちゃうスーパーさん、気持ちは分かるけど、環境と防犯は別問題。レジ袋の収益を防犯カメラのリース代に充てたことは本に書かなかったから安心して!