一番みじめな場所から始めよう! | 【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

【実録・倒産社長の奮闘記】~こうして店は潰れた!~小林久ブログ

老舗スーパー三代目→先代の赤字1.5億円を2年で黒字化→地域土着経営で中小企業の星に→中小企業診断士試験に出題→早過ぎたSDGs →2017年まさかの倒産→応援団がクラファンで3,000万円支援→破産処理後は「笑って泣かせる」講演講師に。『現代ビジネス』コラムニスト



2017年末、負債総額16億円で経営破綻した山梨県限定で有名な「スーパーやまと」。その社長が恥ずかしげもなくその顛末を綴った本を出版する。

その名も「こうして店は潰れた」

「会社を潰したヤツが何を今さら!」と競合他社からは本の広告や書評さえも握り潰される始末。そこには業界の暴露話が盛り沢山に記されている。

 

「いいさ、それならまだ買い手がつかない潰れた店先で売ってやる」という訳で、最高に惨めな場所に自分を晒し、街の歩行者天国のお祭りの中、妻と2人で売り始めた。

「100年以上地元にお世話になったのだから、お別れする時もしっかりしなきゃ」と嫌がる妻を説得して、サンバを踊るおばちゃんや「あんな大人になっちゃダメよ!」とさげすむお母さんの視線に耐えながら販売開始!

【いざという時に人の本性が出る!】
倒産前はわんさか寄ってきた行政関係者や教育委員会、選挙が近いと顔を売りにきたが、私の顔を見て無視して通り過ぎる議員の先生達。もう破産した人間と付き合っても得はないということだろう。気持ちは分かる。

不憫に思ったスーパーやまとの応援団に指令が掛かる!

 

「おい、やまとの社長が奥さんと自分の本を売ってるらしい。困った時に助けられた俺たちが、今助けなくてどうする!」


本の特設販売所に長蛇の列ができ始めた!


人が人を呼び、用意した本400冊が完売した。サインなど連帯保証人で慣れっこだ。取引先や元従業員、競合他社からも私の顔を見て安心したと。

さっき無視して通り過ぎた議員もわざわざ戻ってきて声を掛ける (笑) 

 

世の中捨てたもんじゃない。本は最終的に増刷6刷のヒットとなり、一文無しの我が家の生活費に消えたm(__)m



👨一人の青年が本を買いにきた。


私 「君はスーパーやまとの関係者なの?」

青年 「いいえ、僕は社長さんに高校を出してもらいました!」

私 「(隣で妻が睨む)、俺なんかしたっけ?」

青年 「社長さんが教育委員をしてた時、報酬を4年間全部寄付してましたよね?」

私 「そうだ、小銭は要らない!とか格好つけて全額交通遺児の財団に寄付してたわ

青年 「先生から沢山頂いたって聞きました。そのお金で高校を出ることができたんです。お礼をいいたくて」

私 「そっか……(泣)💧。先生に行けと言われたんだろ?それじゃお釣りは要らないか?」

青年 「それとこれとは別です!」


私 「当然だよね😅💦ハイ350円のお返し」

青年 「このお釣りで奥さんと冷たいものでも飲んでください!」

妻 「私、久しぶりにビールが飲みたい」 誤解はとけた(^^ゞ

私 「大きくなりやがって(T . T)💧 誰だか知らんけど (笑)」

あれから5年…。
今日と同じくらいポカポカ陽気の一日だった。

良かった、生きてて🙏🏻