「アームストロング砲」と「王城の護衛者」を読んで幕末ものの短編集を全部読んでしまった気になってました(7年も)
世良修蔵を描いた短編「斬殺」のブロガーさん記事で他にもあったことを思い出しました。
まずはその「斬殺」。
その横暴な振る舞いで東北諸藩を反新政府側に団結させたとされる長州藩士(周防大島出身なので周防人)。
実はそうじゃなかっんじゃないか、と思って読んでみましたが、ドラマ「白虎隊」の泉谷しげるさんの憎々し気な名演がどうしてもよぎってしまうのもあって、そうとしか読めませんでした。
敢えて弁護すると、
・あの彦根藩始め、御三家筆頭の尾張から家康さんの故郷の三河諸藩まで一気に官軍についた事実を前にすれば、東北も同じようにと考えても仕方がない。
・しかも、雄藩であり、江戸初期には最大の反徳川勢力だった伊達家が味方すると言えば信じたくなる。
・北越では、河合継之助に対峙した岩村高俊(土佐)が同じような態度をとっている。方針であったのか、状況がそうさせたのか。
というところでしょうか。
更に、ウィキペディア他ネット情報では、
・世良修蔵は第二次長州征伐や鳥羽伏見の戦いではそこそこ活躍した。
・世良斬殺の後、他の長州人だけでなく薩摩人も仙台藩士に暗殺のような形で殺されている
(桂太郎が暗殺されなくて良かった)
・そもそも東北諸藩を激怒させたという世良の密書は会津藩の偽造
・襲撃を受けた場所は妓楼ではなく旅籠
新しくなったJR岩国駅には幕末周防出身の志士が描かれていますが・・・
一般的にはあまり良く描かれない赤根武人が伊藤博文を押しのけてセンターなのがいい所ですが、世良修蔵はいない。
せめて地元では顕彰できるようになってほしい所です。
表題作「故郷忘れじがたく候」は、秀吉の朝鮮の役後薩摩に渡り薩摩焼きを始めた朝鮮人陶工とその子孫。
その子孫たちの日本人としての矜持に
「胡桃に酒」、タイトルは完全に忘れてましたが内容は鮮明に覚えてました。
細川ガラシャ(今作では終始たま)の非業の最期に至る顛末と、最期部屋越しにとどめを刺した名族・小笠原氏の末裔・小笠原少斎
時代もテーマもばらばらの寄せ集め短編集ですが、いずれも読ませる秀作でした