ヴェルクマイスター・ハーモニー(’00)
原作:クロスナホルカイ・ラースローの小説「抵抗の憂鬱」
監督:タル・ベーラ
久々に“寝オチ”してしまった
タル・ベーラの作品は、相当な覚悟で挑まないとならない。
観終わった後は、消耗しきって抜け殻のようになってしまうし(笑)
それを分かった上で心して挑んで、そして、オチてしまった・・・・
ハンガリーのとある田舎町。
郵便配達夫のヤーノシュ(ラース・ルドルフ)は老音楽家
エステル氏 (ペーター・フィッツ)の世話を日課としていた。
エステル氏は口述の記録を続けていたが、それは現代でも
用いられている調律法を考案したことで知られる音楽家
“ヴェルクマイスター”への批判のようにも聞こえる。
そんなある日、巨大なトラックで町の広場に突然現われた
移動サーカス。トラックの中にはハリボテの“世界一巨大なクジラ”。
お金を払いそのクジラを目にしたヤーノシュはすっかり魅了される。
しかし、これを境に、町では何かが歪み始めていった・・・・。
そもそも“ヴェルクマイスター”って誰なん
1オクターブを12の半音で等分するという、調律の技法を
編み出した人物なんだそうで、劇中、老音楽家がこの人物を批判する。
「恥ずべきことにこの数世紀の音楽作品の音程はすべて偽りである」
そして、町に“クジラ”がやってきて、規則正しいハーモニーが乱れ
町は統制が効かなくなり、暴動が起こってしまう・・・・。
“寝オチ”したなりにまとめると、こんな感じだったと思う。
なぜ“クジラ”なのか? メダカとかだったら、小さすぎて
コレ?いや違うって、お前、踏んづけてないか?なんてなるし・・・・
はぁ~、こんなことしか書けない私が情けない(笑)
この“クジラ”が、フェリーニの『甘い生活』のように
目元を大写しにしたりして、象徴的に映し出されています。
この映画の売りというのが、2時間25分の中で
たった、37カットしかない長回し撮影を敢行していること。
1カット平均4分ぐらい? 中には10分近くの長回しもあったかも?
だから、1カット1カット、じっくり観たら、とてつもない映像体験を
得ただろうに・・・・ なにせ、映画全体が漫然とし過ぎていて
それなりに惹きつけられるものがあったんですけどね(だから観たんですけど)
あ、でも、群衆が漫然と歩く姿を、まだ撮るんかい!
っていうぐらい、余計に長く映し出したシーンは
群集心理の怖さというか、ゾッとするものを感じましたね。
それこそ、調律のズレた楽器になったかのように・・・・
ハンガリーの鬼才タル・ベーラが、4年の歳月をかけて完成させた壮大な叙事詩。
移動サーカスがやって来た町の人間模様とやがて引き起こされる暴動を
2時間25分の長尺に37カットという驚異的な長回しのカメラワークで描く。
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