倫敦(ロンドン)から来た男 | Untitled

 

 

倫敦(ロンドン)から来た男(’07)ハンガリーフランス国旗ドイツ国旗

 

原作:ジョルジュ・シムノンの同名小説

 

監督:タル・ベーラ

 

 

超絶技巧の “フィルム・ノワール”  !!

 

『ニーチェの馬』 を観た時、このタル・ベーラというハンガリー人は

 

ただ者ではないなと感じてはおりましたが・・・・・・

 

 

果てることない海のそば。

 

静かに生きる鉄道員のマロワン(ミロスラヴ・クロボット)

 

毎晩「ガラスの檻」のような制御室から、漆黒の港と駅を見下ろしている。

 

ある夜、彼の平凡な生活に、突然立ち現れた“倫敦から来た男”

 

マロワンは偶然にもその男が犯した殺人の現場を目撃してしまう。

 

そして、殺された男が持っていた大金の入ったトランクを

 

マロワンは海中から見つけ出し、彼の人生が狂い始める・・・・・。

 

 

モノクローム映像による光と影の見事なコントラスト。

 

ゆっくりとしたカメラワーク。ほんと、ゆっくりなんです。

 

そのゆっくりさが、真綿で首を締めつけられるような緊張感で

 

139分もの間、体が硬直したままの状態が続いていく。

 

だから、観終わった後は完全に消耗しきってしまい(笑)

 

長回しやクローズアップを多用していて、冒頭のシーンにいたっては

 

実に30分ものワンシーン・ワンカットの長回しビックリマーク 

 

表情のない顔のクローズアップも相当長く(特にブラウン夫人の)

 

物体を凝視するかのように映し出していて、そこから滲み出てくる

 

感情を観客に読み取らせようとしている。

 

 

主人公のマロワンが夜勤から帰ってきて、これから陽が高くなる時分に

 

寝室に潜り込んでいく。妻のティルダ・スウィントンが眩しいぐらいに

 

陽が射し込んでいる寝室の扉を閉める。部屋は暗くなり扉の隙間から

 

漏れてくる光で、妻のシルエットが浮かび上がる・・・・・・。

 

トレーラーでも少し流れていますが、このシーンが素晴らしいっ。

 

ストーリー自体は、ヒッチコックが撮りそうなサスペンスですが

 

“白と黒”“光と影”の映像美術に圧倒される作品なのであります。

 

 

 

研ぎ澄まされたモノクローム映像で綴る 孤高のノワール・サスペンス。

ジョルジュ・シムノンの同名小説を鬼才タル・ベーラ監督が映画化。